Japanese Author

シーラカンスの全ゲノムが語る脊椎動物の陸上化

二階堂 雅人

Nature ダイジェスト Vol. 10 No. 12 | doi : 10.1038/ndigest.2013.131228

何億年もの間、ほとんど変わらない姿で現存し、「生きた化石」とも称されるシーラカンス。このほど、東京工業大学、国立遺伝学研究所、東京大学などによるチームが、約27億対に及ぶ全ゲノムの解読に成功した。みえてきたのは、シーラカンスの際立った特異性と、脊椎動物の陸上化に関わる分子メカニズムの一端だ。

–– Natureダイジェスト:なぜシーラカンスのゲノム解読を進められたのですか?

二階堂:私は生物の適応進化に興味があり、1997年に、学部生として岡田典弘教授(現 東京工業大学名誉教授・国際科学振興財団)の研究室に入りました。岡田教授は、DNAの配列をもとに生物の系統を調べる分子系統学の第一人者で、魚類から哺乳類に至る複数のグループについて、系統関係の解明に成功していました。その中で私たちは、「クジラは、陸上に住む哺乳類が海へと戻っていった生物で、系統的に最も近いのはカバである1」といったことを突き止めました。

一方で、タンザニアのビクトリア湖に生息するシクリッドという淡水魚の種分化や分子系統の解析も進めており、協力関係にあったタンザニア水産研究所から、シーラカンスが提供されることになりました。地元の漁師が、サメを捕るため深海に網を入れたところ、生きたシーラカンスがひっかかり、その冷凍個体をタンザニア水産研究所が保管していたということでした。「それなら、シーラカンスの分子系統解析もやってみよう」ということになり、私も加わることになりました。

全文を読むには購読する必要があります。既に購読されている方は下記よりログインしてください。

Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

プライバシーマーク制度