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亜鉛フィンガーヌクレアーゼを用いたゲノム編集によるCD4+ T細胞のHIV-1耐性の確立

Nature Biotechnology 26, 7 doi: 10.1038/nbt1410

HIVの補助受容体CCR5がもつ天然のΔ32欠失のホモ接合は、HIV-1感染に対する耐性をもたらす。我々は、内因性のCCR5を破壊する目的で、組換え型の亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を用いて新規のHIV耐性遺伝子型を作製した。CCR5 ZFNの一過性発現により、初代ヒトCD4+ T細胞のプールでは、CCR5対立遺伝子の約50%が永久的かつ特異的に破壊された。in vitroおよびin vivo(HIV感染のNOGモデル)では、CCR5の遺伝子破壊が、確実かつ安定的で子孫に受け継がれるHIV-1感染防御効果をもたらした。ZFNで操作したCD4+ T細胞をHIV-1感染マウスに移植したところ、野生型のCD4+ T細胞を移植したマウスと比較してウイルス量が少なく、CD4+ T細胞数が多かった。これは、HIV耐性CD4+ T細胞群を維持することによってAIDS患者の免疫機能が再構築される可能性と矛盾しない。このように、CCR5 ZFNで操作した自己のCD4+ T細胞を体外で増殖させてHIV感染者に養子移入する方法は、HIV-1感染の魅力的な治療法である。

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