Nature ハイライト

コロナウイルス:慢性COVID-19患者におけるSARS-CoV-2の進化

Nature 592, 7853

R Guptaたちは今回、リンパ腫の化学療法を以前に受けたことのあるBおよびT細胞免疫不全患者1例での重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の進化について報告している。この患者では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対してレムデシビル、トシリズマブ、回復期血漿による治療が成功しなかった。著者たちはこの患者において、101日間にわたって23の時点でウイルスを採取し、ウイルス集団内の変化を観察した。その結果、スパイク遺伝子の69/70番目のアミノ酸の欠失(これはB1.1.7系統や懸念されている他の変異株でも見られる)と他の変異を持つ1つの変異株の出現が、回復期血漿の投与と関係していることが分かった。この変異株は、さまざまなモノクローナル抗体に対する中和感受性は変化しなかったものの、回復期血漿試料による中和に対する感受性はやや低下していた。この研究は、長期的なウイルス複製が起きている免疫抑制状態の患者においてウイルスが進化する可能性を浮き彫りにしている。

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