Nature ハイライト

細胞生物学:相分離がオートファジーの開始を仲介する

Nature 578, 7794

液–液相分離(LLPS)は、生体分子の凝縮体を形成する生物物理学的現象であり、さまざまな細胞機能がより効率的に行えるのはLLPSのためだと考えられている。野田展生(微生物化学研究所)たちは今回、LLPSがオートファジーのごく初期段階に起こることを明らかにしている。オートファジーは、凝集している細胞内物質をオートファゴソームと呼ばれる小胞内に隔離してリソソームへと運び、リソソーム内で分解させる過程である。オートファゴソームは、プレオートファゴソーム構造体(PAS)と呼ばれる部位でde novoに合成され、PASは、酵母では、よく解析の進んでいるAtgタンパク質群と相互作用することが知られている。今回、PASは、LLPSによって形成されるAtgタンパク質の凝縮体であることが明らかになった。著者たちのデータは、PASの液体状の性質が、オートファジーでPASが機能するために、そして、おそらくは液胞へ局在するために不可欠であることを示唆している。

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