Editorials
ナノテクノロジーに対する過激な反発を防ぐには、世間にこの技術がどのようなものであるか、しっかりと示す必要がある。
Small steps p.557
Violent opposition to nanotechnology should be countered with public awareness.
doi: 10.1038/488557b
ヨーロッパが科学技術の推進目標を達成するには、研究者ビザをもっと入手しやすくすべきだ。
Open for business p.557
If Europe is to achieve the science-investment goals it set for the decade, it must make life easier for researchers coming from abroad.
doi: 10.1038/488557a
News
アマゾンの森林伐採の抑制が、すぐには炭素排出量の削減にはつながらないという分析が。
Brazil unveils tool to track emissions
doi: 10.1038/488570a
米の重イオン衝突型加速器(RHIC)が、国の予算削減で存続の危機に。
US colliders jostle for funds
doi: 10.1038/488566a
カロリー制限では寿命は延びないという研究結果が発表され、長寿は遺伝や食事など、より複雑な要因が働いている可能性も。
Calorie restriction falters in the long run
doi: 10.1038/488569a
アフリカでは、使わなくなった衛生電波受信用アンテナを再利用した電波望遠鏡のネットワークが。
Recycled dishes form telescope network
doi: 10.1038/488571a
アフリカ豚コレラがロシアで急速に蔓延し、周辺諸国にも拡大のおそれが。
Pig fever sweeps across Russia
doi: 10.1038/488565a
米小児科学会が、割礼の有益さはリスクを上回るとの結論に。
Doctors back circumcision
doi: 10.1038/488568a
News Features
物理学:新粒子研究の展望
After the Higgs: The new particle landscape
ヒッグス粒子の詳細研究へ向け、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)に次ぐ最新施設建設への夢が膨らむが、その現実はかなり厳しい。
doi: 10.1038/488572a
ナノテクノロジー:武力による抵抗
Nanotechnology: Armed resistance
メキシコでナノテクノロジー研究施設を標的にした過激行為が頻発しているが、いったいそれはなぜなのか。
doi: 10.1038/488576a
News & Views
環境科学:海の健康診断結果
Environmental science: Scorecard for the seas p.594
海洋の健全性を評価する指標の1つでは、世界全体の海に対する採点として100点満点の60点という値が出た。だが、1つの数字で環境状態と海が人間に与える恩恵の両方を包括できるという考え方は、議論を呼ぶかもしれない。
doi: 10.1038/488594a
免疫学:肺を経由して移動する免疫細胞
Immunology: Licensed in the lungs p.595
多発性硬化症では、自身の免疫細胞が脳や脊髄を攻撃するようになる。しかし、免疫細胞が末梢組織から脳や脊髄に入り込む仕組みはわかっていなかった。意外にも、中継地点の1つが肺であるらしいことが今回示された。
doi: 10.1038/488595a
海洋科学:古代の海におけるカルシウムの堆積
Ocean science: Ancient burial at sea p.596
4300万〜3300万年前、地球の温暖な「温室」状態が終わって、氷で覆われた惑星に変わっていくのに伴い、太平洋海底では生物起源の炭酸カルシウムの堆積速度が周期的に変化していたことが明らかになった。
doi: 10.1038/488596a
光学:ダイヤモンド中での波の混合
Optics: Mixing waves in a diamond p.598
超高強度のX線レーザーを使って、ダイヤモンド中でX線と可視光波を混合することが可能になった。この結果から、原子スケールで材料の微視的光学応答を調べるのが容易になるだろう。
doi: 10.1038/488598a
エピジェネティクス:細胞の再プログラム化にかかわる分子たち
Epigenetics: Actors in the cell reprogramming drama p.599
皮膚の細胞を形質転換して幹細胞にする過程は、大いに関心を集めているが、まだよく解明されていない。しかし、再プログラム化の最初の段階を引き起こす分子がついに明らかになった。
doi: 10.1038/488599a
天文学:衝突の行く末
Astronomy: Collision course p.600
今から40億年後に、アンドロメダ銀河は天の川銀河と接近遭遇すると予想される。これら2つの銀河は崩壊に向かうダンスを踊り始め、そのさらに20億年後には2つが完全に一体化するだろう。
doi: 10.1038/nature11482
微生物学:抗生物質と肥満
Microbiology: Antibiotics and adiposity p.601
ある種の抗生物質を少量投与されているマウスは体重が増え、脂肪が蓄積する。これは、腸内細菌の一部がほかの細菌よりも抗生物質の投与に耐えて生き残りやすく、消化をエネルギー供給が増える方向にシフトさせるためらしい。
doi: 10.1038/488601a
Articles
物理:X線と光波の混合
X-ray and optical wave mixing p.603
doi: 10.1038/nature11340
気候:赤道太平洋における新生代の炭酸塩補償深度の変動
A Cenozoic record of the equatorial Pacific carbonate compensation depth p.609
doi: 10.1038/nature11360
環境:世界の海洋の健全度および恩恵度を評価するための指標
An index to assess the health and benefits of the global ocean p.615
doi: 10.1038/nature11397
微生物学:幼若マウスへの抗生物質投与は結腸マイクロバイオームおよび脂肪量を変化させる
Antibiotics in early life alter the murine colonic microbiome and adiposity p.621
doi: 10.1038/nature11400
Letters
材料:原子レベルの薄さの回路を実現するための、グラフェンと窒化ホウ素の横方向ヘテロ構造体
Graphene and boron nitride lateral heterostructures for atomically thin circuitry p.627
doi: 10.1038/nature11408
気候:南極大陸直下の潜在的なメタン貯蔵庫
Potential methane reservoirs beneath Antarctica p.633
doi: 10.1038/nature11374
地球:地震のすべり速度における斑糲岩の極度の弱化に対する「メルト継ぎ目」機構
‘Melt welt’ mechanism of extreme weakening of gabbro at seismic
slip rates p.638
doi: 10.1038/nature11370
神経:DMRT3の変異はウマの歩行運動およびマウスの脊髄回路の機能に影響を及ぼす
Mutations in DMRT3 affect locomotion in horses and spinal circuit function in mice p.642
doi: 10.1038/nature11399
医学:プルキンエ細胞のTsc1を変異させたマウスにおける自閉症様行動と小脳機能不全
Autistic-like behaviour and cerebellar dysfunction in Purkinje cell Tsc1 mutant mice p.647
doi: 10.1038/nature11310
再生医学:体細胞の再プログラム化におけるParp1とTet2による初期段階のエピジェネティックな修飾
Early-stage epigenetic modification during somatic cell reprogramming by Parp1 and Tet2 p.652
doi: 10.1038/nature11333
医学:IDH1(R132H)変異はマウスの造血系前駆細胞を増加させ、エピジェネティックな変化を引き起こす
IDH1(R132H) mutation increases murine haematopoietic progenitors and alters epigenetics p.656
doi: 10.1038/nature11323
遺伝:大腸がんに頻発するR-スポンジン融合
Recurrent R-spondin fusions in colon cancer p.660
doi: 10.1038/nature11282
細胞:腫瘍抑制因子RNF43はWnt受容体のエンドサイトーシスを誘導する幹細胞E3リガーゼである
Tumour suppressor RNF43 is a stem-cell E3 ligase that induces endocytosis of Wnt receptors p.665
doi: 10.1038/nature11308
免疫:インフラマソーム活性化とHMGB1放出にPKRが果たす新規な役割
Novel role of PKR in inflammasome activation and HMGB1 release p.670
doi: 10.1038/nature11290
免疫:T細胞は肺でライセンシングされて中枢神経系に侵入する
T cells become licensed in the lung to enter the central nervous system p.675
doi: 10.1038/nature11337
細胞:タマホコリカビでは、原核生物メッセンジャー分子のc-di-GMPが柄細胞の分化を引き起こす
The prokaryote messenger c-di-GMP triggers stalk cell differentiation in Dictyostelium p.680
doi: 10.1038/nature11313