Volume 469 Number 7328

Editorial

2011年は国連の世界化学年であり、他分野の発展の基盤となってきた化学の重要性と将来性を再認識したい。

Chemistry's understated majesty p.5

doi: 10.1038/469005a

News

米国議会の勢力変化の影響で、予算削減など、科学の先行きに暗雲が。

p.9

doi: 10.1038/469009a

Q&A 米国下院科学技術委員会のゴードン前委員長に、「米国競争法」の評価と今後の展望を訊く。

p.10

doi: 10.1038/469010a

ベネズエラのチャベス大統領の権力拡大が、科学の自由を脅かすおそれが。

p.11

doi: 10.1038/469011a

2011年も、科学のさまざまな分野で、新発見や進歩の可能性が。

p.12

doi: 10.1038/469012a

南極のニュートリノ観測装置アイスキューブが完成し、大きな期待が。

IceCube Completed p.13

doi: 10.1038/469013a

News Features

新しい炭素の試み

The Trials of new carbon p.14

驚くべき性質をもつフラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンの研究が長年続けられているが、その商品化は簡単ではない。

doi: 10.1038/469014a

環境にやさしくなるのは、易しくない

p.18

この20年で化学産業のエコ化はかなり進んだが、意識改革には時間がかかり、大変革にはまだ程遠い。

doi: 10.1038/469018a

News & Views

フォーラム:環境動態学:単純性vs複雑性

p.38

現在、多くの研究者が自分の研究課題を進めるのにコンピューターモデルの力を借りているが、そこで選ばなければならないのが、複雑系を単純化するのか、それとももっと詳細なところまで取り込むかという問題だ。堆積地質学の複雑な過程のモデル化は、その格好の例である。

doi: 10.1038/469038a

超分子化学:より大きくてよりよい合成法

p.39

自然が高い精度で作り出す巨大分子を人工的に合成しようとする化学研究者は大変な苦労をしてきた。小型のテンプレート(鋳型)から出発して大型分子を作る簡単な経路を提案する戦略は、化学合成における「次世代の花形」となるかもしれない。

doi: 10.1038/469039a

進化生物学:隣人をまねるのはやめたほうがいい?

p.41

相利共生は、それにかかわっている動物が餌を巡って競争している場合だと、「両刃の剣」になることがある。これは、アマゾン生息の擬態するナマズ類では近縁種と同じ擬態がめったにみられないことの説明になるかもしれない。

doi: 10.1038/469041a

生物地球化学:有毒だったカンブリア期の大洋

p.42

動物進化の初期に起こった海洋生態系の一連の危機のうち、少なくとも1つの主要原因は、無酸素状態と有毒な硫化物の広範囲にわたる存在であったことが、炭素と硫黄の同位体から得られる証拠によって示された。

doi: 10.1038/469042a

量子フォトニクス:チップ上のもつれ合ったフォトン

p.43

導波管中の1個のフォトンのフォトニックチップによる制御は、フォトンの量子的性質に基づく技術につながる有望な方法である。このようなチップ上での量子エンタングルメントの測定が可能になることは、そうした進歩における重要な段階である。

doi: 10.1038/469043a

アルツハイマー病:失われた記憶を取り戻す

Recollection of lost memories p.44

「年をとるにつれて人は賢くなる」といわれているが、年をとると記憶を保持する能力が低下していくというのが現実だ。この問題を解決する方法の1つは、シグナル伝達分子EphB2のニューロンでのレベルを上昇させることかもしれない。

doi: 10.1038/469044a

分子コンピューティング:論理演算子としてのDNA

p.45

コンピューターは、その機能の基盤としてトランジスターを利用した論理ゲートを用いているが、分子論理ゲートならばもっと演算が速くなると考えられる。DNAを使う論理ゲートが報告され、これは分子コンピューティングに向けた最初の進歩の1つとなりそうだ。

doi: 10.1038/469045a

Articles

医学:アルツハイマー病モデルでのEphB2枯渇の解消は認知機能を回復させる

Reversing EphB2 depletion rescues cognitive functions in Alzheimer model p.47

doi: 10.1038/nature09635

脳:刺激報酬学習におけるドーパミンの選択的な役割

A selective role for dopamine in stimulus-reward learning p.53

doi: 10.1038/nature09588

生理:アーバスキュラー菌根での菌のリポキトオリゴ糖共生シグナル

Fungal lipochitooligosaccharide symbiotic signals in arbuscular mycorrhiza p.58

doi: 10.1038/nature09622

Letters

宇宙:太陽系外惑星WASP-12bの大気にみられる高いC/O比率と弱い温度逆転層

A high C/O ratio and weak thermal inversion in the atmosphere of exoplanet WASP-12b p.64

doi: 10.1038/nature09602

物理:スピンのそろった中性子と陽子が対となった相に対する92Pdの準位構造からの証拠

Evidence for a spin-aligned neutron–proton paired phase from the level structure of 92Pd p.68

doi: 10.1038/nature09644

化学:バーニアテンプレート法と12個のポルフィリンからなるナノリングの合成

Vernier templating and synthesis of a 12-porphyrin nano-ring p.72

doi: 10.1038/nature09683

化学:無溶媒環境でのアノマー効果の検出

Sensing the anomeric effect in a solvent-free environment p.76

doi: 10.1038/nature09693

地球:カンブリア紀後期海洋における広範なユーキシニアの地球化学的証拠

Geochemical evidence for widespread euxinia in the Later Cambrian ocean p.80

doi: 10.1038/nature09700

進化:競争と系統発生がミュラー型相互擬態種の群集構造を決定する

Competition and phylogeny determine community structure in Müllerian co-mimics p.84

doi: 10.1038/nature09660

進化:実験的ニッチ進化によって引き起こされる多様性–生産力関係の強度の変化

Experimental niche evolution alters the strength of the diversity–productivity relationship p.89

doi: 10.1038/nature09592

進化:始生代の遺伝子拡大期に起こった急激な進化的変革

Rapid evolutionary innovation during an Archaean genetic expansion p.93

doi: 10.1038/nature09649

遺伝:線虫の3′UTRの形成と調節および進化

Formation, regulation and evolution of Caenorhabditis elegans 3′UTRs p.97

doi: 10.1038/nature09616

細胞:テロメラーゼの再活性化によって、テロメラーゼを欠失した老齢マウスの組織変性が回復する

Telomerase reactivation reverses tissue degeneration in aged telomerase-deficient mice p.102

doi: 10.1038/nature09603

細胞:細菌の触媒性をもつ骨格構造を介するGTPアーゼ・キナーゼシグナル伝達複合体の構築

The assembly of a GTPase–kinase signalling complex by a bacterial catalytic scaffold p.107

doi: 10.1038/nature09593

細胞:CENP-BはレトロトランスポゾンのLTRによって複製フォークが停止した領域のゲノムの維持を保障する

CENP-B preserves genome integrity at replication forks paused by retrotransposon LTR p.112

doi: 10.1038/nature09608

構造生物学:テルペン生合成におけるタキサジエン合成酵素の構造とモジュール構造の進化

Taxadiene synthase structure and evolution of modular architecture in terpene biosynthesis p.116

doi: 10.1038/nature09628

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