Volume 465 Number 7296

Editorials

ラットがヒトの認知機能の研究に驚くほど役立つことがわかってきたが、それでもヒトの脳の解明には、霊長類を使った研究が不可欠である。

p.267

doi: 10.1038/465267a

米国は、既存薬の新しい用途の研究が進むよう、特許の延長や投資の保護策を考えるべきだ。

Change of purpose p.267

doi: 10.1038/465267b

欧州の科学研究分野の市場統合と調和を図る、EUのGeoghegan-Quinn研究・イノベーション・科学担当委員の改革案は、支援に値する。

p.268

doi: 10.1038/465268a

News

メキシコ湾原油流出事故による汚染が、深海部で広がっていることが明らかに。

Oil cruise finds deep-sea plume p.274

doi: 10.1038/465274a

宇宙開発の商業化の幕開けとなる、米国の新ロケット、ファルコン9の打ち上げ試験に期待が。

p.276

doi: 10.1038/465276a

「顧みられない病気」(neglected disease)の治療法の研究・開発を支援するため、新たな基金の計画が。

p.277

doi: 10.1038/465277a

カナダで広大な森林地帯を守る保護協定が実現し、気候の安定化に役立つ可能性も。

p.279

doi: 10.1038/465279a

地球温暖化によってマラリアが増加するとの予想に、異論が。

Pacific tuna population may crash at any time p.280

doi: 10.1038/465280b

News Features

神経科学:ラットの認知機能

p.282

ヒトの認知機能の研究には、霊長類を使う以外方法はないと考えられてきたが、げっ歯類からも多くの知見が得られることがわかってきた。

doi: 10.1038/465282a

海洋学:深海の死と再生

Death and rebirth in the deep p.284

海底火山の噴火は、深海の生物に壊滅的な影響を与えるが、生命再生の感動的なドラマも展開される。

doi: 10.1038/465284a

News & Views

創薬:抗マラリア薬パイプラインに呼び水

p.297

既存の抗マラリア薬に対する耐性の出現は、この恐ろしい病気を根絶しようという努力を無にしかねない。マラリア原虫に対して効果のある数千の化合物が見つかったことは、新しい薬剤の開発を期待させる。

doi: 10.1038/465297a

生体材料:インテリジェントな糊

p.298

クモの巣は糊の微小液滴で覆われているが、この糊の性質ははっきりしていない。今回、この接着物質の伸展性が、クモの巣の昆虫を捕らえる役割の基盤であることが明らかになった。

doi: 10.1038/465298a

発生生物学:根は内なる呼び声に応える

p.299

植物の根では、水液の通り道である2種類の木部組織によるパターン形成が起こる。これは、いずれも移動性である転写因子とマイクロRNAの互いに逆方向に向かう動きがかかわるシグナル伝達系によって決定されている。

doi: 10.1038/465299a

太陽系外惑星:論外の大きさの惑星

p.300

太陽系外巨大ガス惑星の一部は理論で予想されたよりもずっと大きいという観測結果は、天文学研究者を驚かせてきた。重力による潮汐相互作用が原因の惑星加熱が、謎を解くカギの1つである可能性が考えられる。

doi: 10.1038/465300a

DNA修復:破損点での決断

p.301

損傷を受けたDNAの運命に影響を与える決断は多数ある。例えば、損傷をどのようにして修復するか、あるいは、損傷は修復すべきか、修復せずに損傷を受けた細胞を死なせたほうがいいかといった決断が下されなければならない。分子間相互作用の作る複雑なネットワークが、こうした決断に影響を与えている。

doi: 10.1038/465301a

超新星:古い星での新しい爆発?

New explosions of old stars? p.303

従来知られている超新星爆発の枠に入らないタイプの星爆発の例がいくつか見つかっているが、こうした超新星のもとである星の性質とその爆発の機構はまだ全くわかっていない。

doi: 10.1038/465303a

気候変動:海って温暖化しているよね?

p.304

海洋表層の貯熱量についての1998〜2008年までの煩雑なデータの再検討から、温暖化を示すはっきりした証拠が得られた。だが、さまざまな解析間の相違とほかの指標との矛盾は、注目すべきである。

doi: 10.1038/465304a

Articles

薬学:抗マラリア薬リード化合物同定への出発点となる多数の化合物

Thousands of chemical starting points for antimalarial lead identification p.305

doi: 10.1038/nature09107

医学:熱帯熱マラリア原虫の化学遺伝学

Chemical genetics of Plasmodium falciparum p.311

doi: 10.1038/nature09099

植物:マイクロRNA165/6による細胞シグナル伝達が根細胞の遺伝子量依存的な運命を誘導する

Cell signalling by microRNA165/6 directs gene dose-dependent root cell fate p.316

doi: 10.1038/nature08977

Letters

宇宙:ヘリウム過剰な伴星を伴う白色矮星を起源とする暗い型の超新星

A faint type of supernova from a white dwarf with a helium-rich companion p.322

doi: 10.1038/nature09056

宇宙:楕円銀河中に現れた特異でヘリウム過剰な超新星は大質量星が起源である

A massive star origin for an unusual helium-rich supernova in an elliptical galaxy p.326

doi: 10.1038/nature09055

工学:切り離し可能なエピタキシャル多層集合体を用いたGaAs光起電装置と光エレクトロニクス機器

GaAs photovoltaics and optoelectronics using releasable multilayer epitaxial assemblies p.329

doi: 10.1038/nature09054

気候:全球海洋表層の着実な温暖化

Robust warming of the global upper ocean p.334

doi: 10.1038/nature09043

地球:表面のプレート運動とスラブ縁辺の速い三次元的マントル流れの両立

Reconciling surface plate motions with rapid three-dimensional mantle flow around a slab edge p.338

doi: 10.1038/nature09053

医学:気候変動と全球的なマラリア減少

Climate change and the global malaria recession p.342

doi: 10.1038/nature09098

医学:表皮ブドウ球菌のEspは黄色ブドウ球菌のバイオフィルム形成と鼻腔内定着を阻害する

Staphylococcus epidermidis Esp inhibits Staphylococcus aureus biofilm formation and nasal colonization p.346

doi: 10.1038/nature09074

免疫:T細胞レパートリーの胸腺選択がHLAクラスIに関連したHIV感染制御に与える影響

Effects of thymic selection of the T-cell repertoire on HLA class I-associated control of HIV infection p.350

doi: 10.1038/nature08997

医学:in vivoで得られる酸素に応答した赤痢菌の毒性調節

Modulation of Shigella virulence in response to available oxygen in vivo p.355

doi: 10.1038/nature08970

生理:カルシウム依存性プロテインキナーゼ1はトキソプラズマのエキソサイトーシスに必須の調節因子である

Calcium-dependent protein kinase 1 is an essential regulator of exocytosis in Toxoplasma p.359

doi: 10.1038/nature09022

細胞:酵母ゲノムの三次元構造モデル

A three-dimensional model of the yeast genome p.363

doi: 10.1038/nature08973

医学:皮膚扁平上皮がんにカルシニューリンとATF3が果たす反対の役割

Opposing roles for calcineurin and ATF3 in squamous skin cancer p.368

doi: 10.1038/nature08996

細胞:ミオシンIIは、細胞規模のアクチンネットワークのトレッドミル状態に、ネットワークの脱重合を介して寄与する

Myosin II contributes to cell-scale actin network treadmilling through network disassembly p.373

doi: 10.1038/nature08994

細胞:eIF5は、eIF2リン酸化による翻訳制御に必要なGDI活性をもつ

eIF5 has GDI activity necessary for translational control by eIF2 phosphorylation p.378

doi: 10.1038/nature09003

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