Editorial

別格たる所以(ゆえん)ブックマーク

Nature 462, 826 (17 December 2009) | doi:10.1038/462826a

A class of their own

2009年日本で開催された Nature メンター賞受賞者は、優秀な指導教官としての普遍的な資質をもっている。

「北野博士は、一見荒唐無稽なアイディアに対してでも、いつも喜んで投資しようとしています。…また、若手研究者を自分の論文の Corresponding author(連絡先著者)にして、積極的に世界に送り出そうとしています。…思い切りが良く、個を尊重する北野博士の独特の指導者としての特徴は、博士が日本の制度で純粋培養された研究者ではないからでしょう」。

「大沢研究室に入って一番驚いたのは、皆が大沢教授のことを『大沢先生』ではなく、『大沢さん』とよんでいることでした。また大沢教授は、自分の机に仕事いることはめったになく、実験室を歩き回り、いつも誰かを捕まえて話をされていました」。

これらは、Nature が科学者のメンタリングを表彰するNature メンター賞に寄せられた推薦文の抜粋である。2009年のNature メンター賞は、「中堅キャリア賞」を北野宏明ソニーコンピュータサイエンス研究所(東京都)所長、「生涯功績賞」を生物物理学者の大沢文夫愛知工業大学(愛知県豊田市)客員教授が受賞した。Nature メンター賞は、2005年の設立以来、毎年異なった国で開催され、受賞者の選考は、毎回、開催国のさまざまな専門分野の一流の科学者によって構成される審査委員会により行われてきた。そして、2009年のNature メンター賞は日本で開催された(Nature 2009年12月17日号948ページに関連記事)。過去の受賞者と同様、今年の2人の受賞者も、「話をしやすい」、「広い視野と洞察力で全体を見渡せる」、「若手研究者が主体となった研究にかかわりをもつことができる」といった、優秀なメンターとして全世界共通と思われる資質をもっている。日本の制度は間違いなく階級的な傾向が強いが、こうしたヒエラルキーに抵抗するメンターの資質によって優秀な次世代の研究者や指導者が生み出されるのだ。今回も、これまでにメンター賞が開催された国々と同じように、こうした点がしっかり認識され、審査が行われた。受賞した大沢氏と北野氏に祝意を表する。

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