注目の論文

生物に着想を得たセラミックス

Nature Materials

2014年3月24日

Bioinspired ceramics

天然真珠層(真珠の外層を構成する高強度材料)のレンガ-モルタル構造を模倣した高強度・高靭性・高剛性セラミックスが容易に作製できることが、今週のオンライン版で報告される。今回開発されたセラミックスは、最高600°Cまで特性を維持できるので、破局的な破損が許されないエネルギー関連や輸送用の構造材料として使える可能性がある。

概してセラミックスは脆いが、セラミックスの靭性を高めるために、変形しても破断しないポリマーや金属を構成要素として導入することができる。しかし、ポリマーや金属を導入すると、セラミックスの強度、剛性、高温安定性が損なわれる。今回Sylvain Devilleたちは、真珠層の構造から着想を得て、本質的に脆い無機物の微小板状片とナノ粒子から、金属合金に匹敵する比強度と靭性を持つバルクセラミックスを作製できることを示している。Devilleたちの作製方法は、氷の結晶の成長がきっかけとなって無機板状片が整列し、板状片の間にナノ粒子が取り込まれるという氷晶テンプレート法に基づくものである。

doi: 10.1038/nmat3915

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