今後はエネルギー関連職に注目
2008年5月29日
Paul Smaglik
Moderator of the Naturejobs
Nature 453, 557 (21 May 2008) | 10.1038/nj7194-557a
過去数ヵ月のニュースを見てみると、今後はエネルギー研究に対する関心が高まる可能性があることが分かる。それぞれの記事からは、就業チャンスが拡大することがうかがえる。この3月には、インターネット起業家が資金を調達して設立したカリフォルニア州サンカルロスにあるテスラモーター社(Tesla Motors)が、高性能の電気自動車の製造を開始した。こうした動きは、革新への対応が遅れがちだったアメリカの自動車業界がとうとう他のテクノロジー分野のアイデアを取り入れつつあることを示している。テスラの記事が出た直後には、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、大手自動車メーカーが各種テクノロジーの使用許諾を求めるようになったことを伝えている。巨大製薬会社がバイオテクノロジー企業や大学から知的財産を購入するのとまったく同じ方法で、である。
今月には、米エネルギー省が、米国は2030年までに電力の20%を風力発電で賄うことができるというレポートを発表している。一方、風力エネルギーの生産率では世界一のデンマークは、2025年までには電力の50%(現在の20%増)を風力発電で賄うことを目指すという報道がある。
その後、米大統領の有力候補者が3人登場し、全員が二酸化炭素排出を削減するという方針を打ち出した。こうして気候変動に着目することは、ブッシュ大統領の政治姿勢の転換につながるだけでなく、一連の再生可能エネルギーへの投資に道筋をつけることにもなった。一方で、原油価格が過去最高値を更新、インドと中国における自動車保有率が急増、地球温暖化の影響への懸念、そして中東やロシアといった政情不安定な地域への石油生産依存から脱却する必要性など、政治、経済、社会からのさまざまな圧力もエネルギー研究を後押ししている。
ニュースの見出しからは民間投資が増加していることも分かる。公共投資がそれに続けば、より多くの専門分野で、材料科学から生物科学まで、より多くの科学者が増大しつつある代替エネルギー資金を利用できるようになることが期待される。政治や環境といった誘因は、エネルギー研究やエネルギー関連職の未来が明るいことを意味している。
英語の原文:Energy-related jobs could be on the rise for years to come