ポスドクには明確で広く認められた一連のコアコンピタンスが必要であろうか
2008年5月15日
Gene Russo
Naturejobs editor
Nature 453, 251 (7 May 2008) | 10.1038/nj7192-251a
先月、ボストンにあるNPA(全米ポストドクトラル協会)が年次総会を開催し、一連のコアコンピタンス(核となる資質)が果たすポスドクの役割と目的について、活発な討論が繰り広げられた。議論の最中、こんな質問も投げかけられた。例えば、医学や法律と同様に、そのようなコンピタンスを規制化すべきなのか。
最初の案文で、NPAの研究グループは考えられる6つのコンピタンスを明確に打ち出した。科学の知識、リサーチ能力、コミュニケーション能力、プロ意識、リーダーシップとマネジメント能力、そして責任をもって研究に臨む態度である。驚くことではないが、必須のコンピタンスの考察に対して怒りをあらわにした参加者もいた。医学や法律とは違い、研究者を認定する中心的組織もないし、今後設立されるはずもないと主張するのである。また、アメリカの大半の大学院ではすでにこうした行動指針を奨励しているか、または最初から求めているため、これは重複しているという意見もあった。
しかし、産業界で仕事をしている科学者にとって、このようなコンピタンスは分かりやすいバロメータになり、しかも「非伝統的なキャリア」を目指す、急増するポスドクの一連のキャリアに丸みをつけることになるかもしれない。アメリカに渡った外国出身のポスドクの場合、出身大学院や研修が多岐にわたっていることから、コンピタンスもそんな彼らのスキルのバランスを取ることに役立つかもしれない。また総会では、成功を計る尺度となる出版物の数に代わる、新たな尺度を提供し得る行動指針のアイデアを歓迎する声も上がった。ただ、ある評論家はこう釘を刺した。教職員たちはコンピタンスをただの余計なデスクワークというよりも訓練経験の一環として見る必要が出てくるだろうと。
コンピタンスを極度に規制するのは良い考えだとは言えない。ポスドクが進むキャリアの道が多数あることを考えた場合にはとくにそうだ。しかし、考え抜かれたコアコンピタンスにお墨付きが得られれば、ポスドクの役割や重要さもより一層明確になり、それぞれのポスドクが改善を要する訓練分野を見いだし、ポスドクを経たあとの理想的なプロ経験にスムーズに移行するのに役立つはずだ。
英語の原文:Postdocs need a set of defined, widely endorsed core competencies. Or do they?