Naturejobsからキャリアネットワークを展開
2008年2月28日
Gene Russo
Naturejobs editor
Nature 451, 1023 (20 February 2008) | 10.1038/nj7181-1023a
科学者が共同研究を行う手段としてFriendsterやMySpaceといった新しい「仲間探し」のウェブサイトを利用し始めるのも時間の問題であった。このようなネットワーク構築ツールは、これまでの科学研究のあり方を一変させる可能性を秘めている。写真や音楽のファイルをやり取りするだけにとどまらず、研究者がプロトコルについて議論したり、分析結果を交換したりすることも可能となる。しかし、そこには隠れた落とし穴がある。つまり、ネットワークづくりに熱を入れすぎると、結局は人脈ばかりが多くなってしまうということだ。多くの一般人にとっては、数少ない良好な関係を維持していくほうが好ましい場合もある。
新時代の到来を告げるウェブ2.0と、それに伴って登場したアバターや仮想世界、「セカンドライフ」によって、世界中の人々とつながりを持つことがかつてないほど容易になった。研究者と潜在的な仲間や共同研究者とのつながりは、その研究者が望むかぎりいくらでも増やすことができる。だが、時間は限られている。したがって、そうしたつながりが研究室や現場での生産的なプロジェクトに役立っているのかどうかを確認することが課題になりそうだ。どんなテクノロジーにも弱点はある。とくに共同科学研究の世界では、量よりも質のほうが勝っていなければならないのだ。
しかし、世界中の人々とつながりを持つことに大きなメリットがあるのは明らかだ。今週の特集(1024ページ参照)ではいくつかの効用について検討している。研究分野を超えたグループの結成、臨床医と基礎研究者との人脈づくり、または膨大なデータセットの統計解析を行うための作業の分担。研究者は生産性を向上させ、技術的な洞察力を高めることができるのである。
抗議されるのは承知のうえだが、Naturejobsではサイエンスキャリアに関連した幅広い問題について議論し、助言しあうNature Network(http://network.nature.com/group/naturejobs)にフォーラムを開設したことをご報告させていただきたい。Naturejobsの元編集者Paul Smaglik氏が司会進行役を務め、サイエンスキャリアの専門家の助力を仰ぎながら議論を進めていく予定である。例えば、伝統にとらわれないキャリアへの転向を望んでいる科学者、給与や手当の問題を追求したい科学者、Naturejobsのコンテンツへの対応を考えている科学者、あるいは特定地域には科学者になる道が開かれているのかどうかについて調査したい科学者に役立つような議論である。この仮想ミーティングの場では、専門家や同じような進路決定に直面している方が賢明なアドバイスやヒントを提示してくれる。皆さんの参加をお待ちしています。なお、アバターは不要です。