Nature Careers 特集記事

ポスドクジャーナルの購読者、研究の旅に出発

2008年1月24日

Gene Russo
Naturejobs editor

Nature 451, 369 (16 January 2008) | 10.1038/nj7176-369a

将来有望なポスドクは普通、外国でフェローシップを取得するようにとのアドバイスを受ける。今年もNaturejobs のポスドクジャーナルでコンテストを開催したが、入賞者は一般のポスドクから見てもグローバルだ。そんな外国への旅には不安や緊張が付き物である。文化や言葉の違いによって、母国との距離は物理的な距離以上に遠く感じ、科学競争や非協力的なデータ、ラボの管理を習得しなければならないなど、さまざまな障害に阻まれプロへの道がより難しくなる。

自らの旅の体験談を2008年のポスドクジャーナルの特集で披露しようと、50人以上のフェローが応募してくれた。応募者の出身国は、スイス、中国、南アフリカ、フィリピン、オーストラリア、フィンランドなど、世界中に及んでいる。いずれもキャリアの旅の体験談だったが、最も優れた科学紀行文を寄せてくれたのが4人の入賞者だ。

Aliza le Roux氏は南アフリカ出身。アメリカに到着したばかりの霊長類行動学の研究者である。彼女には準備しなければならないことが2つある。まずはアメリカの大学で働けるようになること、続いてエチオピアで現地調査ができるようになることだ。アメリカではアナーバーのミシガン大学にフェローとして配属されることになっている。Amanda Goh氏はアメリカで博士論文を書き終えたばかりだが、現在はシンガポールにあるバイオポリス(政府主導の最先端バイオメディカル総合研究開発センター)のフェローである。アジアでの生活にも慣れ、シンガポールが大規模な科学予算を組んでいることや厳しい社会秩序で有名である、といった問題についても当意即妙に答えられるようになった。イギリス生まれのJon Yearsley氏は、自称万年ポスドクで、フェローの職に就いたり離れたりを10年も続けている。スイスのローザンヌ大学であと1年フェローを続けるつもりでいるが、ここで理論宇宙学から生態学と進化生物学に完全に転向したいと考えている。そしてZachary Lippman氏。彼はエルサレムのヘブライ大学で植物遺伝学を研究しているが、数年前の夏に現場実験がイスラエルとレバノンのヒズボラとの戦いに巻き込まれたことから、科学の旅には危険が伴う可能性があることを知っている。

旅先の苦労について進んで語ってくれたすべての応募者に感謝したい。そして4人の入賞者には祝意を述べたいと思う。どうか皆さんが無事に旅を終え、満足感を持って目的地にたどり着くことを願っている。また、障害をうまく乗り越えながら旅を続ける皆さんの体験談を読めるのを楽しみにしている。

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