ポスドクの人生談
2008年1月10日
Gene Russo
Naturejobs editor
Nature 451, 103 (2 January 2008) | 10.1038/nj7174-103a
すばらしい小説は興味深い物語を持っている。読者はその登場人物の詳細を知ることができる。話が完結するまでには、登場人物の少なくとも一人は、興味をそそるほどに、啓発的に、あるいは人を驚かせるほどに変貌する。我々のPostdoc Journalで意図していることもこれと同様である。読者はこれまで11ヵ月にわたり、4名の雑誌担当者の雰囲気、見方、考え、態度および優先事項の変化を見てきた。この変化が読者自身の関心を反映したものであることを我々は望んでいる。
この度2007年の雑誌担当者の任期満了に伴い、各担当者からそれぞれ1つ、計4つの物語がオンライン限定の年末記事にまとめられている(http://www.nature.com/naturejobs/magazine/graduates/index.htmlを参照)。Chris Rowanは地質学のポスドクをするために、英国から南アフリカへの危険を伴う移動で新年を迎えた。彼はこの機会を、言い換えると、この地域の稀な地形を見逃す訳にはいかなかった。しかし極めて多くのポスドクと同様、自身の独立に役に立つ発表や場所の発見ができるかどうかを心配している。彼は教育の機会を失っているが、移動についてこれまで後悔はしていない。
Maria Ocampo-Hafallaはこれまで以上に個人的・職業的な協力関係を評価するようになった。実験において活動的であると同時に職業的ビジョンと「科学で生き残るための伸び続ける技術」を持つ良き指導者を見出すことが、キャリアを成功させる要因になると書いている。Moira Sheehanは、多くの人がもつ喜びとチャレンジを抱きながら新年を迎えた。つまり赤ん坊ができたのである。日常の世話、病気、子供と研究との両立。Sheehanは奮闘の連続を偽りなく語った。そして、読者は読者自身の経験談をもって反応してくれた、と述べている。その個人的な専心事のために、Sheehanは職業上の大きな決断をするのが難しくなっている。すなわち業界か、小規模なリベラルアーツ・カレッジか、という決断である。
Peter Jordanにとって新年は、自身の科学研究の将来を認識する機会となった。やめる決心をしたのである。研究生活は決して悪いものではなかったが、1年間ポスドクをした後にJordanは別のものを追及することを選択した。彼は人々にもっと直接的に影響する職業を望んでいる。他の3名と同様にJordanも昨年少しだけ変化した。物語は続く。