助成金審査は対象となる科学と共に変化する必要がある
2007年12月27日
Gene Russo
Naturejobs editor
Nature 450, 1273 (19 December 2007) | 10.1038/nj7173-1273a
研究費獲得は科学活動の要だが、予算が拡大され、より多くの提案が出されると、研究費提供団体が最も前向きなプロジェクトを承認する方法を変える必要がある。例えば米国国立衛生研究所(NIH)は、その総額から助成金を出す際に安全策を取ることが批判されており、また新入りよりも定評のある研究者に研究費をより多く提供する傾向がある。この機関は米国の生物医学研究への主要研究費提供者であることから、このことは新たなアイデアを持つ才能ある若者が学界に留まることをやめさせうるものである。
同時に、科学の発達は、研究費提供団体に新たな悩みの種を与えている。現在多くのプロジェクトが学際的かつ並進的研究に依存しており、多くの専門分野にまたがる研究機関が世界中に次々に生じている。しかし、米国およびその他の地域には学際志向の審査官があまりにも少なく、研究の最前線の提案を評価することができない。
NIHはこれらの問題に対応する努力をしている。昨年、NIHは助成金審査システムを変更し、さらなる変更を考えている。「Director's pioneer」賞および「Pathway to Independence」プログラムは新進科学者を狙いとしている。現在考えられている変更は、申請プロセス期間短縮、検討セクション改革、ならびに審査前に申請者が申請についての誤認を明確にできる「事前の反論(prebuttal)」などがある。
最も有望な科学的アイデアを決定するための討論に、すべての科学者は関与している。European Union's Frameworkプログラムは、複雑な事務処理を要し、さしずめ手に負えない共同事業を奨励する不透明な助成金の申請過程で有名である。そうであっても、学際的な科学は最近のFrameworkの任務の大部分を占めている(Nature 446, 104–105; 2007参照)。科学の共同事業はより複雑になってきており、場合によっては官僚主義が、前衛的な研究への容易な研究費提供の障害となってきている。助成金審査は科学活動と共に変化する必要がある。そうでなければ、この活動は期待にそぐわないものとなるであろう。
英語の原文:Grant review has to evolve along with the science it scrutinizes