Nature Careers 特集記事

学位所持は満足できる理系キャリア獲得の鍵

2007年12月20日

Gene Russo
Naturejobs editor

Nature 450, 1123 (12 December 2007) | 10.1038/nj7172-1123a

Nicole Christacosは聴衆のポスドクたちにこう言った「要は皆さんの学位です。学位を活用してやりたいことをやってください」。ニュージャージー州マディソンにあるQuest Diagnostics社の細胞遺伝学者であるChristacosは、米国細胞生物学会(American Society for Cell Biology)が先週ワシントンDCで開催したポスドクのキャリアに関するシンポジウムにおいてスピーチを行い、この言葉を1度ならず強調した。これは、非常に理にかなった言葉である。

シンポジウムに参加したパネリストは自分達の成功談を披露し、希望する職業を得るためにどのように学位を利用したかを語った。Christacosは仲間の励ましは得られなかったが、企業に就職した。遺伝医学の博士号を持つKavita Bergerは、科学政策の世界に入る決断をした。政府の仕事を探したがうまくいかず、彼女は全米科学振興協会(American Association for the Advancement of Society)のインターンシップで妥協することにしたが、今度は資格過剰と言われた。幸いにも、協会のCenter for Science, Technology and Security Policyに勤め口の空きがあった。ワシントンDCへの転居と政策関係の人脈が、Bergerの昇進に役立った。

John LeGuyaderは、大学を卒業し自分は高校教師に向かないと決断した後、米国特許商標庁(United States Patent and Trademark Office:PTO)の特許審査官となった。彼はロースクールへの進学も視野に入れていた。しかしPTOは職員がロースクールに行くための学費を負担することがよくあるので、指導教官は彼にまずPTOに行くことを勧めた。17年後、LeGuyaderはPTOで刺激的ながらも安定したキャリアを築いていたが、ロースクールには手が届かなかった。LeGuyaderは、特許取得可能なものは何か、それはなぜかを判断するキャリアを積むために、自分が受けた研修と技術的なノウハウを利用した。

大学院生が、学術界における仕事の見通しの悪化や代わりのキャリアパスの重要性を何度耳にしたとしても、理系の学部では昇進の仕組みが管理されているため、若い研究者は自分のキャリアの進路について、先見の明のない指導教官の判断に従う傾向がある。これでは、企業や他の「代わりの」キャリアへの道が閉ざされかねない。しかし、パネリストたちが明らかにしたように、学生が代わりのキャリアパスについての認識と確固たる意志を持っていれば、希望する職業を獲得するために学位を役立てることができる。

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