Nature Careers 特集記事

科学技術職の給料は適正でも領域・分野・国によって様々

2007年12月13日

Gene Russo
Naturejobs editor

Nature 450, 917 (5 December 2007) | 10.1038/nj7171-917a

研究者を特定の国や機関に惹き付けるものは何か?確かな要因となるものは、その場における研究者の名声、信望、業績、施設の先進性、そして周辺領域の快適さであるが、給料もまた意思決定の一因となる。これまで科学者の研究拠点の選択肢を狭めていた経済、文化、そして構造基盤における障壁は、国際化によって消えつつある。しかし、欧州委員会の報告によると、それでも給料は一群の国々では著しく高いものとなっている。物価で調整した場合、オーストリア、オーストラリア、イスラエル、日本、スイス、オランダ、ルクセンブルグでの報酬は米国と匹敵し、ユーロドル56,000~62,000(83,000~92,000米ドル)である。インドの物価で調整した研究者の平均収入はユーロドル45,207であり、欧州連合の全平均であるユーロドル41,500に近い。ところが中国では他の国々を大きく下回り、研究者の調整後平均給料はわずか13,760ポイントである。

但し、分野・領域によって、給料には大きな幅がある。米国の科学技術専門委員会(Commission on Professionals in Science and Technology)の11月の報告では、この夏の国内の自然科学または工学の学士卒業生の平均のうち化学工学の卒業生が最も高く、平均59,361ドルであった。これは生命科学の卒業生の34,953ドルや、化学の卒業生の41,506ドルと好対照をなしている。

また、国によって昇給の速さに違いがある、というさらに複雑な事情もある。EU諸国の研究者の給料をキャリア段階別にランク付けした欧州委員会の研究では、経験年数に応じてランキングは上下することが示された。例えば英国では、経験0~4年では13位だが、5~7年になると9位に上昇し、8~10年では7位となる。職業について考える場合、科学者は領域だけでなく地域や長期的にみた給料収入についても考える必要がある。

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