北米全体で成長中のリサーチパークにも欠点?
2007年11月22日
Gene Russo
Naturejobs editor
Nature 450, 451 (14 November 2007) | 10.1038/nj7168-451a
大学リサーチパークは特に米国とカナダで科学的活動のモデルとして、ますます人気が高まっている。このような目的志向の環境が企業と学界との連携を育んでいるが、これは雇用の創生、知的財産の創出、ならびに企業および学界における仕事に向けた研究者の育成を目的としたものである。
このコンセプトは成功しているように見える。先月発表された米国Association of University Research Parks(AURP)のある調査で、リサーチパークは企業および地域経済の活性化に寄与していることが確認されている(http://www.aurp.net)。リサーチパークは北米全体で計12万5千人ほどの研究開発に従事する科学者を擁しており、約5分の1が医薬品および診断部門で活動している。ビジネスも活気づき、過去5年間のうち59のリサーチパークで750社ほどが設立されている。
しかし良い知らせばかりではない。AURPはリサーチパークが依然重要な課題に直面していることを認識しており、それは特に商品化技術、参加企業の多様化、および利潤性における課題である。実際、当初の750社のうち、その後13%が脱落している。
リサーチパークが大学に及ぼす影響は、さらに懸念される。カナダのトロント大学商学部教授のRichard Florida氏は、大学は製品や地域の成長のために新しいアイデアを繰り出すエンジンに過ぎないという考え方を助長している点で、リサーチパークを非難している。リサーチパークに欠かせない産学連携の類は、他のプロジェクトを犠牲にして、応用科学のプロジェクト数を増加させるので、大学研究に影響を及ぼしうる。知識の創生および才能の育成における大学の役割の方がはるかに重要である、とFlorida氏は論じている。
参加する科学者はリサーチパーク興隆の好影響ならびに悪影響について認識すべきである。そして大学は、関係するリサーチパークがどんなに大規模化しても、確実に基礎研究を最優先事項とすることに注意を払う必要がある。
英語の原文:Research parks are sprouting up all over North America. Is there a downside?