今日、科学者の機動性が求められている
2007年11月15日
Gene Russo
Naturejobs editor
Nature 450, 315 (7 November 2007) | 10.1038/nj7167-315a
仕事における機動性は、科学の仕事を追究する全ての人にとって重要な特質である。専門分野を変え、研究室を変え、他国へ移り、学界と業界の間を渡り歩くことは、成功するためには必須かもしれない。しかし多くの人にとって最後の点はかなり問題となりうる。
例えばAcademy of Medical Sciencesの報告によると、英国では生物医学の科学者が学界から産業界へ移ることを考えた場合に、いくつかの壁に直面する。この問題は、一部には企業へ移ることにより自主性が奪われ、学界とのつながりが絶たれるという学者の抱く懸念により煽られている。すなわち、企業での生活がどのようなものかという情報、また企業で得られる機会に関する情報の欠如によるものである。この報告では、情報ギャップに対する解決策として、学者に企業を経験させる導入プログラムを計画すること、および大学での「企業一般公開日」を増やすことが提案されている。
これら両部門が互いの認識を深めることの重要性は、経済協力開発機構(OECD)が先月発表した科学技術産業スコアボードにおいて強調されている。それによると、2005年にOECD諸国では390万人が研究開発に従事している。そのうちのかなりの割合が企業従事者であり、米国では80%、日本では66%、EUでは50%にのぼる。中国では過去5年間、企業で働く研究者の数は毎年15%増加している。
しかしOECDによる数字は、同時に専門分野および国境を超えた適応性や機動性の重要性がますます高まっていることも明らかにしている。2005年には、複数国の著者が共同執筆する科学論文の数は、1985年に比べ5倍になっている。科学の国際化は、若い研究者がますます機会を得ることを意味している。それにより、行動を起こす気さえあれば、好ましい生活条件や理想的な共同研究を見出す機会がさらに増えるのである。