米国における学者の人口動態
2007年10月4日
Paul Smaglik
Moderator of the Naturejobs
Nature 449, 501 (26 September 2007) | 10.1038/nj7161-501a
米国における学者の人口動態は、今後10年間で大転換を遂げるだろう。London Times Higher Education Supplement誌の記事(2007年9月14日付)によれば、大学は「高齢化」(米国における学部の1/3が創設以来55年以上を経過し、14%は60~69年を経過している)に伴い、要員交代に備えている。
ところが、新たな要員が手にする職種(および給料)は、これまでの常識とはかけ離れたものになるかもしれない。多くの大学は高給・常勤・終身ポストから低給料・パート・非常勤ポストへの転換を見込んでいる。そして米国には定年の義務付けがないため、今後10年にかけて求人はまとめてではなく、ポツリポツリと発生するだろう。
しかしながら、米国人以外も含めてであるが、今後数年において米国の学界入りを目指す若い科学者にとって朗報もある。米国ではこれまで、定年退職率の最も高い領域の1つである科学における米国人PhDが他の領域に比べあまりにも少なく、空いた教員ポストに対する需要は海外の科学者に対しても発生すると思われる。
学者の退職により発生する誰もが一番欲しがるポストはもちろん、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、コロンビア大学といった国内超一流の研究機関であろうが、そこでは大半の学部が創設70年を超えている。これらの大学には教授のポストを擁するに足る資金があり、卓越した人々をパートで置き換えるとその名声が損なわれてしまうことから、終身ポストを非常勤ポストに転換する可能性は他大学に比べると低い。
新たな学部が多数創設されると学部を運営しプログラムを取りまとめる経験豊富な人材が不足すると懸念する大学もある。しかし長年ポスドクをし、度々昇進へのハードルを引き上げられてきた若い科学者らは、これに同意はしないだろう。彼らに機会を与えるべき時である。