Nature Careers 特集記事

確立された科学のホットスポットに対するフロリダ州とアリゾナ州の反撃開始

2007年9月27日

Gene Russo
Naturejobs editor

Nature 449, 371 (19 September 2007) | 10.1038/nj7160-371a

アリゾナ州の研究ブームに関する今週の特集(372ページ参照)に思い当たる所のある読者もいるかもしれない。これは、慈善団体のみならず州と地方自治体からの資金によって起こった変化である。研究者達はこれにより政府資金の不足分を補っているのである。物理学者、技術者、生物学者、化学者の総合的な専門技術や将来に対する投資を望む新たな学際的研究機関がこの開発の中核となっている。これと同時に、スポーツで伝統のライバルであるテンペのアリゾナ州立大学とツーソンのアリゾナ大学も連携の道を模索している。また州知事のJanet Napolitano氏も、人口と経済の面で急激な成長途上にある同州に教育水準の高い労働力を集めるための手段として、全面的に研究を支持している。

実際、変化の規模こそ小さいものの、フロリダ州で起こっている変化(Nature 446, 1112–1113; 2007を参照)に極めて似ている。フロリダ州では前知事のJeb Bush氏がスクリプス研究所、トーリーパインズ研究所、バーナム研究所の新しい分所を含む生物科学のそうそうたる技術陣を呼び込むために州の余剰資金を投入した。ここでも状況は似ており、スポーツのライバル関係がゲーンズビルのフロリダ大学とタラハシーのフロリダ州立大学の連携に影響を及ぼしている。フロリダ州の全ての研究者達は州と民間からの資金で政府資金の不足分を補っている。

他の州もこの方策をぜひ見習いたいと考えている。しかしアリゾナ州とフロリダ州は、通常ハーバード大学やスタンフォード大学の領分である資金や人材募集の領域を大胆にも侵害しているが、これは長続きするのだろうか。バイオ産業で収益が得られることはまれであり、またボストン、サンディエゴ、サンフランシスコには既に確立された大規模なクラスターが存在するために、両州が求めるバイオビジネスの構築には問題も潜んでいる。州の資金がいつまでも続くとは考えられず、科学者と政策決定者は自らがその基礎を築いた研究とインフラを長期的に維持する方法を見出す必要がある、と言った方がより的を得ているかもしれない。

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