ビジネス教育の必要性を示したバイオサイエンス業界求人の短期調査結果
2007年9月6日
Gene Russo
Naturejobs editor
Nature 448, 1077 (29 August 2007) | 10.1038/nj7157-1077a
1970年代のバイオテクノロジーの興隆以来、バイオサイエンスの世界とビジネスの世界との距離はこれまでになく近くなっている。しかし、バイオサイエンス業界に関心を抱く求職者にとってのビジネス教育のメリットとはどれほどのものであろうか?いくつかの利点があげられるだろう。例えば製薬業界は深刻な人員削減にあえいでいる(Nature 448, 965; 2007参照)が、まだ仕事の場がなくなってしまった訳ではなく、ビジネス教育もその足掛かりの1つである。ビジネス教育がどの程度の機会拡大につながるかは測りがたいが、ビジネススキルを取り込んだバイオサイエンスの学位を専門分野として取得できるカリフォルニア州クレアモントのKeck Graduate Instituteは、この実情を評価する報告書を発表した。
Molly Schmid氏とHelen Liu氏は、製薬企業の収益上位5社(ファイザー社、グラクソスミスクライン社、サノフィアベンティス社、メルク社、ジョンソンエンドジョンソン社)およびバイオテクノロジー企業の上位4社(アムジェン社、ジェネンテック社、バイオジェンアイデック社、ジェンザイム社)において7月に公募されていた3,790件の求人について調査した。その結果はライフサイエンスの研究者にとって思いがけないものかもしれない。
研究開発(R&D)の求人は全体のおよそ17%であり、残りはビジネス関連業務の求人であった。その内訳は7%が製造、24%が管理(情報技術、財務、法務などの業務)、25%が規制関連業務(品質管理、テクニカルライティング、統計解析など)、27%が販売・営業であった。
この結果はちょっとした警鐘であるとSchmid氏は言う。「通常、学者達は産業界で得られる職種がどんなものかについて調べたり考えたりしていません。多くの人は本当に驚くことでしょう。R&Dはもっと多いと考えていたはずですから。」
もちろんこの調査は1ヶ月間という短期的なものに過ぎないが、この数字は多様なスキルを持つことの重要性を示している。「学生達は科学教育を受けたことによって手に入れることができる職種について理解する必要があります。有機化学の研究室ではそのようなメッセージは得られないでしょう。」とSchmid氏は語る。