Nature Careers 特集記事

米法案、自然科学における就業機会を後押し

2007年8月23日

Gene Russo
Naturejobs editor

Nature 448, 833 (15 August 2007) | 10.1038/nj7155-833a

8月9日、George W. Bush大統領は、全米の自然科学者、技術者、数学者にとって重要な意味を持つだろう法案に署名した。2年間の論争の末、科学教育と科学研究の資金の押し上げとプログラムの創生を目論んだ条項に対する超党派の強い支持を得て、遂に2週間前にこの法案は米議会を通過した。

この法律は、数学と科学において米国は他国に遅れをとっていると警告した全米アカデミーの2005年の報告に端を発する。法案の名称は、アメリカCOMPETES(競争)法と言い、略さず言うと「アメリカの優れた技術・教育・科学を有意に推進する機会創生(America Creating Opportunities to Meaningfully Promote Excellence in Technology, Education and Science)法」とやや大げさだが、米国の科学界に恩恵を与えるはずの重要な条項を含んでいる。

本法律では、国立科学財団(NSF)およびエネルギー省科学局の予算を7年間で倍増するよう勧告している。2008~2010会計年度では、前者には220億ドル、後者には全体で170億ドルの配分を目指している。またこれにより、新たにエネルギー高等研究計画局(ARPA-E)も設置され、科学、技術、工学、数学の教育プログラムに1億5千万ドルが支給される。本法律では、米国標準技術局(NIST)の予算を10年で倍増するよう勧告し、大学院研究奨励プログラムと共に、エネルギー省の任務に関連した研究を行う大学および国立研究所の研究者を対象とした若手助成プログラムが創設される。

この法律により、自然科学と工学における仕事と資金の見通しの改善が約束されるように思える。しかし、立法者の気が変わることもある。予算が下り、プログラムが実行に移されるまでは、科学者の仕事の選択は政策変更に左右されるべきではない。そして仮に実行に移されたとしても、用心してかかるべきである。与えられたものがすぐに取り上げられてしまうかもしれないからである。

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