Nature Careers 特集記事

PhDの学位取得期間の短縮方法が新たなデータにより提案されるか?

2007年8月2日

Gene Russo
Naturejobs editor

Nature 448, 507 (25 July 2007) | 10.1038/nj7152-507a

大学院の修了に苦労しているのはあなただけではない。特に米国を始めとして、多くの学生が10年の長きにわたるまで大学院での教育を受けている。このように在学期間が長引くと、学生の時間とエネルギーだけではなく、大学や資金団体の資源をも浪費することになるのは間違いない。

ワシントンDCに拠点を置く大学院審議会(Council of Graduate Schools:CGS)は今週、米国における29の専門大学および総合大学の316の博士プログラムでの中退率と修了率のデータを公表した。進行中の複数年プロジェクトの一部である本結果により、興味深い示唆が得られた。修了率は一部で危惧されていたほど悪いものではなく、PhDの学生の57%が10年目までに学位を取得している。多くの人は、以前の調査に基づきこの数字が50%程度になるだろうと推測していた。そして、自然科学や工学と異なり社会科学や人文科学では、実際に修了率は7年目から10年目まで上昇をみせている。これには大学の過程運営のあり方に関する意味合いが含まれている。「『7年目までに修了しなければ退学』という厳格主義は恐らく賢明なやり方ではない」とCGS会長のDebra Stewart氏は語る。

PhDを修了した1,358名の学生を対象とした別のCGSの調査では、80%が学位修了の助けとなった重要な要因は資金面の援助だったと答え、63%がメンタリング(指導)あるいは助言であったと答えた。また、ほとんどの回答者が、メンター(指導者)から受けた最良の助言は職業指導や教育に関するものではなく、自身の研究に関するものであったと答えた。複数年プロジェクトに関わるPhDプログラムの一部では、既に大学院への長期在学を減らす試みを行っている、とStewart氏は語る。これらのプロジェクトでは、修了見込みのより高い学生を選抜すること、最初の2~3年以降に教育義務を免除した奨学金を提供すること、また仕事と家庭を両立しようとする女性の要求を満たすより良い方法を見出すこと、といった手法を導入している。

しかし、適切な介入策を見出すということは、大抵は実際の実例に基づいた困難かつケースバイケースの仕事となるだろう。専門大学や総合大学はデータを参考にして、学校と学生の双方に利益をもたらすように、事例ごとに個別の行動方針を見出す必要があるだろう。

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