政府出資研究所の特典と課題
2007年7月19日
Gene Russo
Naturejobs editor
Nature 448, 219 (11 July 2007) | 10.1038/nj7150-219a
国立研究所における生活は素晴しいものかもしれない。第一に、予算は平均を上回る傾向があるし、通常職業の安定も平等に保障されている。その上、従業員らは、大学の研究者が背負わされている日々の管理業務や教育義務からも開放されている。国立研究所に勤務することは魅力的なことばかりである。しかし、研究所には国によって差があり、たとえ知名度が高い研究所でも時には思うように進めないこともある。
今後2週間にわたり、Naturejobs では2つの国立研究所(ニューメキシコ州のLos Alamos National Laboratory(220ページを参照)と、英国Medical Research Council(MRC)の運営する研究所(次号参照))に目を向ける。画期的な発見の堂々たる歴史を含めて、両研究所には多くの共通点があるものの、大きな違いもある。例えば、英国では研究グループの規模が小さくなる傾向があり、またLos Alamosでは国家安全保障の問題による深刻な影響を受けている。
実際、核兵器研究の情勢の変化に適応する必要性もさることながら、Los Alamosは一連の警備上の不備問題に困惑した状態である。これが転じて管理面の変化、手順の見直しにつながり、そして遂にはスタッフの数がある程度減少するに至った。研究者らには教育義務はないかもしれないが、まさに山のような書類に記入しなければならない。しかし、最近の諸問題にもかかわらず、Los Alamosはその学際的かつ最先端の研究、共同研究者の幅の広さ、そして豊富な資源により高く評価されている。運営陣およびスタッフは失った栄光を取り戻すことができるはずである。
だが恐らく、Los AlamosとMRCの両者が直面している主要な課題は、才能の発掘である。国立研究所の給料は良いとはいえども、民間企業(製薬企業、バイオ企業やインターネット企業)では大抵それをさらに上回る。Los Alamosや、MRCの運営する研究所のような一流の研究所には特典や魅力はある。それでも、その数十年来の名声を保つだけの人材および研究テーマを発掘する努力を常に怠ってはならないのである。
英語の原文:Government-funded labs have their perks, and their challenges