科学への参画における現状課題
2007年7月12日
Gene Russo
Naturejobs editor
Nature 448, 97 (4 July 2007) | 10.1038/nj7149-097a
女性および社会的少数派の科学への参画が不十分であるとよく耳にする。幾分の進展はあるものの、この問題への対応はまだ不十分である。雑誌や専門誌は権利平等の視点からこの問題に取り組むことが多く、参画不十分なこれらの集団は大学、企業、政府の科学的活動において正当な地位を占めるに値すると強調する。
もちろんこれは真実である。しかし問題は権利平等だけに全くとどまらない。米国をはじめとして人口動態は変化してきており、女性および参画不十分な社会的少数派に参画の機会を与えることは必須となっている。これは、それに値するという理由だけからではなく、科学的活動が将来的に健全性、活力、および豊富な能力を維持してゆくにはこれらの人々の参画が必要だという理由からである。文化的慣習、金銭、出産にまつわる障壁は、有能な科学者が研究を追究する際の障害となっており、求職者の幅を実質的に狭めている。98ページで米国におけるこれらの障壁のいくつかの例とその対処方法について詳述する。
欧州では、101ページで詳述するように、文化や歴史が地域ごとに様々であることから、科学への女性参画の試みには困難が伴っていた。しかしこちらでも女性科学者の流動性と雇用状況を改善する努力がなされている。差別禁止法令に加え、女性間での就職相談のネットワークおよび共有を改善する努力などの数多くの施策が行われている。
しかしミュンヘンであれメインであれ、どこにおいても一貫してみられる問題は、世界中の研究機関は助教より上の職位に女性科学者を維持する手だてを見出す必要があるということである。
残念なことに、女性および社会的少数派の参画向上のために繰り返されている努力は、大抵は次のようにまとめられてしまう。「幾分の進展はあるものの、まだ十分ではない。」それでもやはり、研究者や経営者にこのような努力の現状についての最新情報を知っておいてもらうことは無駄ではない。まだ登場したばかりの参画の少ない集団出身の科学者らが手にする情報が多いほど、彼ら自身の状況改善につながり、さらには科学的活動の状況改善にもつながるのである。
英語の原文:Getting under-represented groups into science is still a work in progress