Nature Careers 特集記事

透明性への第一歩

2010年2月25日

Jan Bogg

Nature 463, 985 (17 February 2010) | doi:10.1038/nj7283-985b

政策と実践の面での開放性が高まれば、多くの女性科学者が躍進する、とJan Bogg氏。

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科学分野における女性の躍進を阻む障壁については、政策立案者と大学が長い間論争を続けているが、多くの大学や産業界がすぐにでも打てる明白な対策が1つある。それは透明性を高めること。そうすれば昇級した女性の統計値だけでなく、そのプロセスもすぐに明らかになる。

私は最近「壁を打ち破る(Breaking Barriers)」というプロジェクトの一環として研究を行っているが、その研究からは、女性たち、特に若手・中堅レベルの女性たちが、情報や政策、実践の面で十分な透明性がないと考えていることが分かった。このプロジェクトでは、研究所や大学の研究者、医療従事者など、さまざまな科学関連職に就く5,000人以上の英国人女性に定量的・定性的なインタビューも行っている。

大学に勤務する女性は、授業時間数とそれが研究に費やす時間に与える影響という点で透明性を求めていた。また、大学の方針を反映する上級職員から、キャリア・昇進に関する一貫した情報を得たいとも考えていた。例えば、大学で上級職にたどり着くには「国際的評価」が必要だと人事関係書類に書かれていても、実際にはどういう意味なのか、単に有名なジャーナルに論文を発表していればよいということなのか、それとももう少し幅広い評価基準があるのかなど。

1つ例を挙げてみよう。実際の数字を出せば現在や将来の女性の被雇用者への情報提供に役立つだろう。英国医事審議会(General Medical Council)では、学問としての医学が女性を呼び込み、保持することができておらず、同部門の最高位に就ける女性も極めて少ないことを認識している。

現在、英国の医学生の60%が女性だが、レベルが上がるにつれて女性が少なくなる。講師の場合にはその40%前後が女性だが、上級講師の場合は28%、教授の場合は13%しかいない。教授職の女性の数も、2004年以降はわずか2%しか増えていない。

上級職の女性の数を報告するのはいささか乱暴な感じもするが、透明性が高まり、この制度に立ちはだかる障害物を特定する基準にはなる。組織の上級職における女性の割合が下級職における割合を反映していなければ、なぜそうなるのかを調べてみる必要がある。

変化は起きている。ただ、英国の数々の専門機関から出てくる数字を見ると、それがいかに遅々とした動きかが分かる。上級職の女性の数の増加は蝸牛の歩みにも似ている。例えば、英国政府の専門機関である平等人権委員会(Equality and Human Rights Commission)が作成したレポート『性と権力(Sex and Power)』が公的・民間部門の権力や影響力の最高位にいる女性たちを調査したところ、現在のペースで考えると、上場企業上位100社の取締役会の男女の数が同等になるにはあと73年かかると見積もっている。

他にも対策が必要だ。公的機関は意識改革を促すような研修を実施すべきである。また、不適切な人事考課や下手な指導をするような経営者の処罰も検討すべきだろう。今後10年、科学職に就く女性たちの真の躍進を望むのなら、今すぐにでもこうした問題に本気で取り組む必要がある。

Jan Boggは英国リバプール大学で女性の平等、多様性、キャリアアップに取り組む欧州委員会資金支援プログラム「壁を打ち破る(Breaking Barriers)」のディレクター

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