Nature Careers 特集記事

モバイル化が進む

2009年10月29日

Rich Pennock

Nature 461, 1157 (21 October 2009) | doi:10.1038/nj7267-1157a

調査結果から、科学者はモバイルテクノロジーのおかげで生産性を向上させられる反面、迷惑な介入にも直面することが分かる。Rich Pennockがその行く末について考察する。

拡大する

モバイル通信が平均的な職場の様相を変えつつある。科学者の職場も例外ではない。人材斡旋会社のKelly Services社が実施した調査「ケリー世界労働力指数(Kelly Global Workforce Index)」によると、遠隔業務の可能性は、高い職務満足度や生産性の向上感につながっている。ところが、この接続性と生産性の向上は科学者のワークライフバランスに深刻な打撃を与えているのである。

この調査に参加したのは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋地域の国際的な科学コミュニティーに所属する3,000人以上の科学者を含め、約10万人の専門家である。質問は主として、回答者のワークライフバランスや、テクノロジーがその生活や職業にどのような形で影響を及ぼしているかに集中していた。

結果は肯定的。つまり、生産性が目に見えて大幅に向上しているというもの。回答した科学専門家のうち70%以上が、自分の仕事や職場と常時コミュニケーションが取れるようになったことは明るい進歩だと述べている。また80%が、モバイル通信テクノロジーの誕生前よりは今のほうが生産性は向上したと考えている。ただ調査からは、この生産性が向上したという意識は相当に高くつくものだと分かった。回答した世界中の科学の専門家のうち3分の1以上が、自分の現在のワークライフバランスに不満を抱いているのである。

在宅勤務によって仕事と家庭との境界線がますますあいまいになっている。回答した3,000人の科学者のうち83%が、在宅勤務に関する社内規程は、どこで仕事をするかを決める際の魅力的な要素だと述べているが、約30%は、ノートパソコンとスマートフォンが常時手の届くところにあるため、以前よりも労働時間が長くなったと述べている。

雇用主はバランスを保つことを考えなければならない。調査結果によると、優れたワークライフバランスを保っている従業員のほうが生産性は高く、仕事にも熱心で、満足している傾向が見られる。従業員の勤労意欲と生産性を維持するために、管理者は彼らの優れた業績に報いる必要がある。例えば、臨時休暇をはじめ、レストランや娯楽用のクーポン券を与えるなど。テクノロジーにアクセスできるだけでなく、そうしたテクノロジーへのアクセスを完全に断ち切る手段やインセンティブも持っている者が幸せな研究者だと言えるのだろう。

Rich Pennockはミシガン州トロイのKelly Services社副社長

「特集記事」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度