Nature Careers 特集記事

最強の教員を求めて

2007年6月21日

Gene Russo
Naturejobs editor

Nature 447, 881 (13 June 2007) | 10.1038/nj7146-881a

良い教員の資質とは何だろうか? Naturejobs では、この複雑な問題がよく取り上げられる。本号のp. 791には、昨年度の Nature 奨学金獲得のために、自分の師を推薦した教え子達の推薦状を基に作成した、教員と学生のための詳細な手引きが紹介されている。報告書的なものではあるが、その観察と経験からは、駆け出しの研究者と彼らを指導する学者のための多くの教訓を得ることができる。

最高の教員とは、生涯にわたる良き師であり、常に学生に対し門戸を開いており、実際の指導者である場合も、そうでない場合もある。惜しみなく自分の時間を割き、研究課題に関する指導を行うばかりでなく、キャリアパスの可能性についても思慮深い助言を与える。彼らは同じ技術と法則を提示するための最新の方法を見いだす。また教え子にふさわしい研究課題を巧みに探しだし、その一方で、なぜ学生に研究に対する意欲が欠けているかについて考える。

優れた教員は共感をもって話を聞いてくれる。学生が家庭と研究を両立させるときに起こり得る問題について認識しており、落胆した学生の励まし方も心得ている。教員は利己的であってはならず、自分のアイデアを惜しみなく分け与え、何の見返りも期待していないため、学生は教員が本当の共同研究者であるように感じる。教員は学生を指導すべきだが、学生が自分の説を考え出す自主性を認めなければならない。そして、レストランでの昼食や、バーベキュー、もしくは卒業式のカクテルパーティーで成功を祝う。最高の教員は、発表された研究をどう評価するか、専門誌の論文をどのように執筆し、添削するか、また研究上の疑問点を精査している研究者仲間にどのように質問をするかを指導する。ネットワーク作りに取り組み、学生のキャリアパスに眼識のある一流の研究者を紹介してくれる。

総合すると、このような資質などまったく無理な注文である。優れた教師と人生の師と非凡なネットワーカーの要素を併せ持った、このような無私無欲の「最強の教員」が世の中にいるだろうか?もしいたとしたら、それは間違いなくエリート集団である。しかし、仮に科学的結果の良し悪しがそれを生み出す研究者によって決まるのであれば、最強の教員になることは、癌を治療し、生態系を理解し、宇宙を作り上げている成分を特定することと同様、価値のある志である。

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