Nature Careers 特集記事

同じ土俵で勝負する

2009年3月12日

Karen Kaplan
Naturejobs assistant editor

Nature 458, 111 (04 March 2009) | doi:10.1038/nj7234-111a

女性やマイノリティーグループ出身者が科学界で直面する障壁に取り組むための具体策。

ここ数年、人数はほとんど変わっていない。基礎科学の分野に従事しているのは、女性やマイノリティーグループ出身者よりも白人男性のほうが多く、昇進も早い。2月の半ばにはイリノイ州シカゴにある全米科学振興協会で年次総会が開催されたが、数人の演説者がこのことを繰り返し発言し、この傾向は引き続き世界の科学界に悪影響を及ぼすだろうと指摘し、その格差を縮めるための具体的な提案も行った。

キャリアワークショップでは、シカゴ大学自然科学学部長のRobert Fefferman氏が、女性もマイノリティーグループ出身者ももっと広範なネットワークを作るべきだと発言。同氏によれば、同類どうしが集まっていると安心できるし、気楽だが、目に見える昇進のチャンスに大きな制限を加えてしまうことになる。「引っ込み思案を克服することです。同じような考え方の人々と一緒にいたいという誘惑を断ち切ることです」と同氏は言う。

同じセッションで、ニューヨーク市ハミルトンにあるコルゲート大学生物学助教授のCatherine Cardelús 氏も、人前に出て認知してもらう方法を模索すべきだと参加者を鼓舞し、「自分の名前を覚えてもらう必要があります。他人に歩み寄ることです。自分を売り込むのです。必要なことは何でもやってみることです」と言う。ただFefferman 氏は、委員会や会議なら何でもいいから参加する、というのは必ずしも最善のアイデアではないと警告する。そして「確かにインパクトはあるでしょう。しかしその分、委員ではない人と同等かそれ以上の(研究)成果を期待されることになります」と言う。

女性はとくに、自分の業績を自分の実力だと考えることができず、幸運やタイミングのおかげだと考えてしまう「インポスター症候群」に警戒しなければならない。数々の研究では男性よりも女性にその傾向が強いことが分かっている、とCardelús氏は言い、妊娠中や育児期間中は長時間研究所にいることが困難であるなどの問題を強調できる女性のアドバイザーや指導者を置くことが助けになると付け加えている。こうしたアドバイザーや指導者はサポートを提供してくれ、ポスドクの地位や早期のキャリアへのいばらの道をかき分けて進めるよう導くこともできる。

ただ、その人の研究が標準以下であれば、新たな価値を創造することなど無理である。「あなた自身の科学力が優れたものでなければなりません」とCardelús氏は言う。

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