Nature Careers 特集記事

ア・デイ・イン・ザ・ライフ

2009年1月29日

Gene Russo
Naturejobs editor

Nature 457, 501 (21 January 2009) | doi:10.1038/nj7228-501a

今年のポスドクジャーナル管理人を歓迎。

今週号では、2009年Naturejobs のポスドクジャーナルの管理人たちを紹介する。例年どおり、4つのポストを巡って激しい競争が繰り広げられた。海洋資源管理や行動神経化学など、今年もさまざまな分野で活動している60人が20ヵ国から応募してくれ、その中から4人を選出した。みなウィットに富み、文才があり、過去に興味深い経験を積んでおり、しかも多分野のポスドクが直面する課題やジレンマに対して鋭い洞察力を持っている。

ジャーナルの管理人のうち3人は、単に研究で多忙なだけでなく、子育てをしながらワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)という身近な課題に取り組んでいる。Julia Boughner 氏は、カナダのカルガリー大学で進化発生学を研究する英国生まれのポスドクで、自分の苦しい立場について、「テニュアトラック職を確保するための競争だったが、今では家族やそれ以外の個人的欲求から、大学に残るという夢から覚めた」と述べている。Boughner 氏は、形態計測学の研究所でヒトの頭蓋顔面の変動メカニズムをモデル化している。

Joanne Isaac 氏も、オーストラリア・クイーンズランドにあるジェームズ・クック大学で気候変動が熱帯系や種に及ぼす影響について研究しているが、ポスドクと子育て、夫婦関係とをうまくこなしている。Issac氏は、大学院生としてブラッシュテールポッサム(フクロギツネ)の生育史を詳しく調査している。ペンシルベニア州立大学ユニバーシティパーク校にポスドクとして勤務する Bryan Venters 氏は、父親になったばかりで、将来に向けて大学と産業界のそれぞれの利点を天秤にかけているところである。ポスドクとしては遺伝子発現制御機構を研究しているが、以前は酵母転写のゲノムワイドなマッピングを行っていた。

Sam Walcott 氏は、学際的科学者としてのキャリアや教育を今後どう進めていくかという、やや趣を異にするが徐々に一般化している課題を挙げている。理論数学と応用数学の教育を受けた Walcott 氏は、ポスドクとしてボルチモアのジョンズ・ホプキンス大学で理論生物物理学を研究しており、筋肉と関係する分子バイオメカニカルモデルに着目しているが、駆け出しの学際的科学者がポスドク期間中に1つの分野だけに集中すると将来の進路に悪影響が及ぶのではないかとも考えている。

読者の皆さんには、ポスドクジャーナルの管理人たちの今後の活躍ぶりを楽しみにしていてほしい。今後それぞれがキャリアの目標に向かって進んでいくだろう。応募してくださった皆さん全員に、私から感謝の意を表したい。

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