Nature Careers 特集記事

旅の終わり

2009年1月8日

Gene Russo
Naturejobs editor

Nature 457, 119 (31 December 2008) | 10.1038/nj7225-119a

2008年ポスドクジャーナルの運営担当者、個人的にも社会的にもマイルストーンとなった1年に別れの言葉を告げる。

金融市場に激震が走り、科学職に就ける機会も不透明になり、ポスドクもこれまで同様に苦境に立たされる時代の真っただ中、今年のポスドクジャーナルの運営担当者らが将来に向けて希望を抱かせてくれる。ここ数ヵ月のうちに、彼らのうち2人が正規雇用の職に就いた。そして1人は母親になる道を選び、もう1人はかなりハードではあるが、常に自分を夢中にさせてくれる研究ポストを見つけた。その4人がそれぞれ、自らの経験と将来の野望をオンラインのエッセイにまとめてくれた(http://tinyurl.com/57hqy7 を参照)。

正真正銘のポスドク依存症を長年経験してきたJon Yearsley氏は、昨年からどうにか新年の誓いの1つに従って行動するようになった。つまり、正規雇用の職に就くか、あるいは何の職にも就かないかである。彼はダブリンで教職に就いたばかりだが、長期間離ればなれの生活が続いた後、パートナーと結婚した。もちろん、独自の学際的研究に研究費がつくのだろうか、学生は集まってくるだろうか、といった課題は残っている。

Zachary Lippman氏の場合は、新たな責任の重さに圧倒されている。同氏はイスラエルでポスドクとして経験を積んだ後、助教授としてニューヨークのコールド・スプリング・ハーバー研究所に移ったばかり。予備データを作成し、研究費申請書を書かなければならないのは分かっているが、過去の経験や同僚のことで思い悩んでいる。

Aliza le Roux氏は壮大な研究への旅で今年のスタートを切った。彼女は祖国の南アフリカからやって来てミシガン州立大学で研究責任者として研究所に勤務した後、すぐさまエチオピアに飛んで新たなポスドクの職に就いた。Le Roux氏はそこで研究しているヒヒの群れが演じる自然のドラマに日々心を奪われており、自分の仕事が大好きだとてらいもなく話す。ただ、動物と遊びながら自分の知的好奇心を追求できるようにはなったものの、そういう仕事によって「普通の」生活が難しくなるのではないかと心配している。

一方、Amanda Goh氏は、いわゆる普通の生活への道を歩み始めた。Goh氏は今年、研究所での仕事に強い不満を感じるようになり、まったく新しいプロジェクトに着手することを検討している。つまり現在、第一子の出産に備えているのだ。研究生活においては「入念な計画」という方針を厳しく自分に課してきた彼女だが、子育ての場でこの方針を貫くのが格段に難しいということを、すでに身にしみて感じている。

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