熱中できる職を求めて
2008年12月18日
Gene Russo
Naturejobs editor
Nature 456, 831 (10 December 2008) | 10.1038/nj7223-831a
禁欲的で崇高で、実験用の白衣を着用して何か大きな発見で報われるまでは何年でもコツコツと働く人、というのが科学者に対するお決まりの一般認識である。もちろん、このイメージはさまざまな理由で完全なものではない。1つには、他の職業人と同様、科学者も自分の仕事に感情的になるということがある。幸運な人は仕事に夢中になる。感情は、実験を行ったり進路を決めたりするときの動機付けになる重要な原動力でもある。
今週は石化燃料業界を徹底的に調査し、地質学者、化学者、物理学者、そしてコンピュータ科学者の機会を探ってみようと思う。多くの人にとって、これらの職業は金銭的にもその他の面でも好待遇である。ほとんどの仕事には十分な問題解決法がある。報酬もそうだが、目標もはっきりしている。つまり石油(あるいはそれを抽出する良い方法)を発見し、自分の会社の利益にする(場合によっては大儲けする)ことだ。また、不景気にもかかわらず、新規採用者に対する需要もあり、給与もかなり高い。
しかし、科学者の中にはこうした職業に危惧を抱いている者もいるだろう。石油や石炭を扱う企業は環境や野生生物に大きな損害を与えている可能性があるからだ。科学はもっと立派なこと(病気を治す、エネルギー危機を解決するなど)をするための手段であると考えている者は、こうした職業には難色を示すかもしない。
ユタ大学ソルトレークシティ採掘計画の学生で、環境保護主義者を自認するKrystal Walker氏は、景観への影響を最小限に抑える方法を見出すことで、こうした企業の慣行を内部から変えていこうと決心した。これはもちろん大胆な戦略であり、何の保証もない。
われわれの地球を救いたい、社会の役に立ちたい、という情熱のある人なら、非政府組織の職に就けばその目的を十分に果たすことができるだろう(Nature 455, 1002–1003; 2008を参照)。インドのデリーに本部を置く科学環境センター(CSE)のアソエシエートディレクター、Anumita Roychowdhury氏がわれわれの最近の取材に応えてくれたとおり、CSEでは「がむしゃらに熱中する」人材を求めているそうだ。そういう人にとっては、石油や石炭業界で実践されている問題解決法ではやや物足りないかもしれないが。