Nature Careers 特集記事

初めて研究所を設立するには

2008年10月16日

Gene Russo
Naturejobs editor

Nature 455, 831 (8 October 2008) | 10.1038/nj7214-831a

大学院と博士課程修了後の研究を首尾よく終わらせるには、時間と労力は必要だが、才能は少しも要らない。しかし、科学職(つまり教員職)の場合、次のステップでは新たなチャレンジが待っている。実験技術をマスターするのとは異なり、初めて研究所を運営するノウハウを学ぶための出来合いのマニュアルなどない。

先月下旬、ロンドンで開いたNaturejobs 主催のキャリア会議で、ドイツ・ハイデルベルグにある欧州分子生物学研究所(EMEL)で研修マネジャーを務めるMatthias Haury氏がこの問題に関する演説を行った。Haury氏は新しい研究所を設立する際の取り組み方についてアドバイスをしてくれた。まず第一に、大きな展望を描くべきだという。続いて研究所の拠点を置く国の学術企業や科学系企業の構造を吟味すること。資金調達や政策の問題が研究所の遠い未来や近い将来の苦悩に影響することがあるためだ。また、グラントから中心的な施設で利用できる設備機器まで、研究所の生産性を左右しそうな要素をすべて丹念に検査することである。実験結果を左右する可能性がある場合には、水質も点検する価値がある。

Haury氏によると、もう1つの大きなステップは、始める前にまず予算を作ることである。消耗品や小さな実験用具はここに含めるとともに、不測の事態に備えて少し予算を多めに組んでおく必要もある。次に誰を採用するかを決めること。スタッフの量よりも質のほうが重要である。ただ、Haury氏は、単に成績が優れた人よりもクリエイティブな経歴やこれまでにない型破りな経歴を持つ応募者と一諸に仕事をしたほうが成功すると言う。結局は個人的な関係がカギを握るのである。

欧州分子生物学機構(EMBO)やハワード・ヒューズ医療研究所(HHMI)で開講している研究所運営講座も有益である(Nature 451, 740–741; 2008を参照)。しかし、Haury氏は、成功への道を進むには会議で講演をする、論文を出版する、レビューを執筆するといった「個人のインパクトファクター」を最大限に高める必要があることを強調した。このインパクトファクターが高くなればなるほど、ネットワーク作りの機会やグラントを付与される可能性も高くなる。また、優秀ななスタッフを惹き付けるチャンスも増えてくるわけである。

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