中国は科学技術系の才能の輸出国になると同時に輸入国にも
2008年10月2日
Gene Russo
Naturejobs editor
Nature 455, 561 (24 September 2008) | 10.1038/nj7212-561a
新しい科学技術研究所、政府による巨額の投資や科学技術系の学生の多さなど、中国が科学技術超大国であるという話はずいぶんと耳にする(Nature 誌の最近の中国特集 を参照)。しかし、外国の逸材を引き付ける国としての中国の話はあまり聞こえてこない。
中国の科学技術系の大学卒業生は、大学院教育を受けるために、米国をはじめとする外国に大挙して押し寄せている。ニューヨークの科学技術専門委員会による調査では、2007年に米国の大学院課程のあらゆる学科に最多の学生を送り込んだのは中国の2つの大学だった。すなわち、青島大学と北京大学。以下5位まで、カリフォルニア大学バークレー校、韓国・ソウル国立大学、そしてミシガン大学とつづく。
だが、ニューヨークの国際教育研究所によると、中国は高等教育を受ける海外の学生にとって、(米国、英国、フランス、ドイツに次いで)最も人気のある留学先でもあるという。国の規模もそれと何かしら関係があり、拡大する教育機関は世界全体でも突出している。学生たちは、北京語の熟達は言うまでもないが、中国で何らかの経験を積んでいれば履歴書で十分にアピールできることに気づいている。中国政府も、外国人留学生の誘致活動には積極的である。
ただ、大学生ではなく、より多くの大学院生を誘致するには、中国の教育機関もさまざまな課題に取り組む必要があろう。とくに科学教育。Nature 誌中国特集や先ごろのNatrejobs の特集記事に詳述してあるとおり(Nature 452, 1028–1029; 2008)、大学院生やポスドク、研究者への補助金は乏しく、まったく不十分と言っても過言ではない。普通ならすぐに手に入る単なる試薬のようなものでも容易には入手できない。もちろん、文化的な衝突も起きるだろう。
しかし、こうしたことへの取り組みは可能である。もし中国が取り組むのなら、中国は科学技術系の優秀な大学院生の輸出国だけでなく、主要な輸入国にもなれるはずだ。
英語の原文:China as both an exporter and an importer of science talent