Nature Careers 特集記事

ポスドクも障害と闘って団結の道を探ることが必要

2008年9月25日

Gene Russo
Naturejobs editor

Nature 455, 425 (17 September 2008) | 10.1038/nj7211-425a

多くの国で、ポスドクはなぜ運命を開拓するのにそれほど必死になって働くのか。答えの1つは、ポスドクとしての経験にある。組合を作りつつある大学院生とは違い(Nature 451, 861; 2008を参照)、大半のポスドクの2年という期間では、給与や給費、労働条件といった問題に真剣に取り組むには不十分である。ポスドクにとっては、わずかなメリットしか与えてくれない冒険に時間を投資するのは難しく、そんなことをしたら、研究をしてそれを発表する、極めて競争が激しい職を手に入れる、といった主な目的から逸れてしまう。大学や政府の込み入ったお役所仕事をこなすだけでも、2年では足りない。

しかし、426ページの記事に詳述するとおり、ポスドクの組合の中には、徐々にではあるが、進展の兆しを見せているところもある。おそらく最大のサクセスストーリーはNPA(全米ポストドクトラル協会)だろう。5年前に発足したNPAは、ニューヨークのアルフレッド・P・スローン財団のような著名な後援者から十分な援助や補助資金を提供してくれると仮定し、何ができるのかを示している。マサチューセッツ州ボストンで4月に開かれたNPAの年次総会で、スローン財団のMichael Teitelbaum氏は、立証されていないモデルの熱心な会員を引き付けるという挑戦だったため、最初は協会が成功するかどうかは分からなかったと、当時を思い出して語っている。また、同氏によれば、いかに成長したか、現在はどの程度自立できているのかを見ると、嬉しい番狂わせだという。また、NIH(国立衛生研究)の外部研究のシニア科学顧問であるWalter Schaffer氏は、NPAではまだ大きな政策の変更には至っていないが、ポスドクに権利は奪われていないのだと感じさせるような声は上げていると言う。

NPAには重要な研究所のことが分かるかもしれないが、多くの組合と同様、やはりお役所という、イライラするような障害に直面している。ただ、NPA、つまり米国のポスドクには声を出す力がある。それはやはり力強く、近い将来も変わらないはずだ。他国や他国のポスドクもこの例にならってほしいと願うばかりである。

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