Nature Careers 特集記事

科学への情熱を再び燃やすには

2008年9月4日

Gene Russo
Naturejobs editor

Nature 454, 1147 (27 August 2008) | 10.1038/nj7208-1147a

真実の恋がたどる道はけっして平坦ではなかった。それと同じことが科学との関係にも言える。先週、ペンシルバニア州フィラデルフィアの米国化学会が主催した会議のキャリアセッションでは、このような話があちらこちらで聞かれた。

Rachel Pytel氏は、自分の2つのタイムラインについて討議した。彼女のキャリアの変遷はごく標準的なものだったが(大学院、学内採用、採用キャンペーン)、「取り組む姿勢の変遷」を見ると、もっと多くのことが分かった。2002年に大学院生活をスタートしたとき、彼女は自分の姿勢を「そうよ、やっぱり科学よ!」というフレーズで簡単に表した。2003年には幻滅が襲ってきた。そして「もううんざり。みんな私より頭が良いし」というフレーズになった。そして2004年、彼女は、科学は嫌いではないが研究が嫌いなのだと判断した。だが、後にもう一度自分の評価を見直してみたところ、全力を注いでいるかぎり、またチーム志向であるかぎり、研究は素晴らしいと判断した。そして教職や政府機関を避け、材料科学系の企業Rohm and Haas社を就職先に選んだのだった。

別のセッションでは、他の化学者たちが、自分の科学への情熱を燃やしながら毎日ワクワクして仕事を続けられるようなキャリアの道をどのようにして見つけたかを議論していた。Derrick Hamlin氏は、弁護士を開業する際に化学の修士号を利用して強みにしている。それは薬物や飲酒運転、環境訴訟などでクライアントの弁護に役立っている。ある訴訟では、灯油ではなくガソリンが燃えた後に残る化学薬品の蒸発速度について陪審員に説明し、放火罪に直面したクライアントを無罪に持ち込んだ。

Jennifer Mass氏は、美術品の保存に化学的な訓練を利用している。美術品劣化の化学的要因を調べ、損傷した作品の保存方法を模索している。例えば、Mass氏とその同僚は、マティスの代表作「生きる喜び」にぼやけた色のまだらがある理由の1つとして、マティスが高額なクロムではなくカドミウムを含む絵の具を使っていたことを挙げた。

Pytel氏にとって重要なのは、「型破りな」仕事を見つけることではなく、職探しの計画を立てることだった。Pytel氏は、キャリアに対する満足をつかむには、根気よく採用キャンペーンに出席し、面接に備え、自分が望むペースや所有するスキルを慎重に考慮すべきだ、と考えている。再び「そうよ、やっぱり科学よ!」と言えるのはそれからだ。

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