新たな大学院ランキング制度を求めて
2008年8月28日
Gene Russo
Naturejobs editor
Nature 454, 1023 (20 August 2008) | 10.1038/nj7207-1023a
あらゆる種類のランキングやベストテンの類がますます増えているようだ。しかも最近では、映画や本のベストを超えて、人々の生活のあらゆる側面がランキングの対象になっている。例えばフォーブズ誌では、成功するためにベストな場所、大学を卒業したての若者にベストな都市、ビジネスやキャリアのためにベストな土地、などといったランキングを掲載している。
高等教育はランキングの主な対象の1つである。さまざまな団体が大学や大学院のプログラムのランキングを作成しているが、その評価基準はまちまちだ。(Nature, 8/21号1024ページ)で我々は、大学院プログラムの人気ランキングの仕組みをいくつか分析し、その方法論の検討を行なった。そして、改善のためのヒントをいくつか提示してみた。
ランキングにはバイアスが掛かっていたりデータの制約があったりするが、例えばUSニューズ&ワールド・レポート誌などの出版物にとってはビッグなビジネスになっている。一部の評論家にはこれが不服なのだ。例えば昨年、米国のリベラルアーツ大学の組織であるアナポリス・グループは、各大学の学長たちに他校の評価づけをさせるランキングに異議を唱えた(Nature 447, 1139; 2007を参照)。オレゴン州ポートランドに本部を置く非営利組織の教育管理委員会は、現在のランキングに批判的な別の組織と手を組んで、大学のランキングシステムを刷新するという野心的な計画をあたためている。「大学情報システム」に将来有望な学生を支援させようという計画だ。これが実現すれば、学生たちの優先順位や、求める大学生活の決定をサポートする診断プログラムに基づいて、大学が推薦されることになる。管理委員会が資金を調達してシステムを開発し、それを定期的にアップデートしていけるなら、これはかけがえのないツールになるはずだ。
うまくいけば、この偉業が大学院レベルで繰り返される可能性もある。さらに野心的なことを言えば、大学院生が国境を越えて大学院に判断を下せるよう、国際的なレベルで。ますますグローバル化する科学系企業や教育制度にとっては、このレベルでの実現がカギとなるはずだ。願わくは、大学院生が自分に合った企業や大学院を見つけるよりよいチャンスに恵まれ、学校側は評判よりも教育内容を気にかけるようになるのが理想であろう。