一匹狼の科学者であること、そうなること
2008年7月24日
Gene Russo
Naturejobs editor
Nature 454, 363 (16 July 2008) | 10.1038/nj7202-363a
あなたは「一匹狼」の科学者だろうか。そうありたいと願うだろうか。現在、世界的規模で競争が激化し、科学に対する関心も高まりつつある。若き研究者は名を上げようとしているが、今こそ過去の科学者たちが、いかに懐疑論や嘲笑に立ち向かい、定説を書き換えていったのかを振り返るのが賢明かもしれない。
“Rebels, Mavericks, and Heretics in Biology”(『生物学の反逆者・一匹狼・異端者たち』)は、イスラエル・バーイラン大学のOren Harman氏とニューハンプシャー・ダートマス大学のMichael Dietrich氏の編集になるもので、手本とすべき型破りの生物学者に関する19のエッセイが収められている(Nature 454, 28–29; 2008を参照)。その中には、成熟分裂中の染色体のふるまいについて、細胞生物学の通念に挑んだCyril Darlingtonの研究や、大胆にも微生物の新たな界を提案したCarl Woeseの研究などが含まれる。
反抗の「タイプ」を分類するのは容易ではない。編者の二人がThe Chronicle of Higher Educationの7月11日号で述べているとおり、型にはまった生物学者は一様に型にはまっているが、一匹狼たちは皆、それぞれ独自のやり方で反抗している。ノーベル賞を夢見る若き研究者にはこの点が教訓となろう。昔も今も、型破りの発見は分野と分野が交わる場所でおこなわれた。Woeseの例でいえば、微生物学と進化生物学である。また、過去の見解や概念のフレームを踏襲しつつ、なおかつ最先端であることもあった。例えば、20世紀のDarlingtonのアプローチは理論中心のもので、どちらかというと19世紀の生物学に近い。
同書ではCraig Venter氏のようなごく最近の一匹狼は取り上げられていない。Venter氏は政府部門から民間に移り、因習にとらわれないゲノムシーケンス法を追究している。おそらくこれが新たな一匹狼の姿を象徴しているのかもしれない。つまり新たな発想ではなく、新しいテクノロジーや資金調達モデルに駆り立てられる研究者である。
とはいえ、名を上げる一匹狼は断固としてリスクを恐れず、隠された手掛かりを貫く糸を見出すセンスと、重鎮の意見にあえて挑戦する大胆さを備えている必要があるだろう。あなたは一匹狼の科学者だろうか。そうありたいと願うだろうか。