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【材料科学】外科手術に応用可能な微小な触手ロボット

Scientific Reports

2015年6月11日

Materials science: Robotic micro-tentacles with surgical applications

小さくデリケートな物体のハンドリングができる微小な触手ロボットについての報告が、今週掲載される。こうしたソフトロボティクスは、生体組織を保護することが非常に重要な生物医学的用途や外科手術に理想的だとされる。

触手のような生物学的システムに着想を得たソフトロボットは、損傷しやすい物体を把持するための利用が大いに期待されているが、微小スケールの用途のために小型化することが課題となっている。これまでの研究では、実際の触手と同じように何度も曲がって渦巻き状になる触手ロボットの動きがセンチメートルスケールまでしか再現できていないが、今回、Jaeyoun Kimたちは、微小スケールの触手ロボットを作製するための新たな方法を開発した。この触手は、硬質のピンセットで取り扱うと変形し、破裂しやすい小型魚類のカラフトシシャモの卵のような微小な物体にも損傷を与えずに巻き付くことができる。また、Kimたちは、この触手ロボットを使って、(腰幅が約400マイクロメートルの)アリを損傷させずにつかみ上げ、保持することにも成功した。

この微小な触手ロボットは、こうした渦巻き運動ができ、物体にわずかな力しか加えないため、血管内手術のような顕微鏡手術に理想的だとKimたちは主張している。血管内手術とは、血管を経由して標的部位に到達する侵襲性の非常に小さい外科手術のことだ。

doi: 10.1038/srep10768

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