注目の論文

【化石】恐竜の系統樹を大きく揺さぶる新しい仮説

Nature

2017年3月23日

Fossils: Shaking up the dinosaur family tree

恐竜の進化的関係の推移に関する新しい仮説を紹介する論文が、今週掲載される。この仮説は、1世紀以上続いた定説に疑問を投げ掛けており、恐竜を2つの新しい主要分類群に分けるという大胆な提案をしている。その正当性が確認されると、現在の恐竜の系統樹を書き替える必要が生じる可能性がある。

これまでの約130年間、恐竜は、鳥式骨盤を特徴とする鳥盤目と爬虫類に似た骨盤を持つ竜盤目という2つの主要分類群(クレード)に分類されてきた。鳥盤目には鳥脚亜目(イグアノドンなど)と装甲恐竜(トリケラトプス、ステゴサウルスなど)が含まれ、竜盤目には肉食の獣脚亜目(ティラノサウルス・レックスなど)と巨大な竜脚亜目(ディプロドクスなど)が含まれている。

今回、Matthew Baronの研究チームは、さまざまな初期恐竜(74分類群)を調べて、457種類の特徴を分析し、解剖学的類似性と解剖学的差異を検証した。その結果、Baronたちは、鳥盤目と獣脚亜目を含み、共通祖先から受け継いだ21種類の特徴(顎骨の鋭い突起、独特の中足骨など)とその他のいろいろな共通の特徴を有する新しいクレードを作り出した。もう1つの新しい分類群には、竜脚亜目とヘレラサウルス科の肉食恐竜が含まれており、肉食の獣脚亜目は除外された。(Baronたちは、この第2の分類群と肉食の獣脚亜目には類似した特徴があるが、それらは独立に進化したものだと考えている。)

このBaronたちのモデルは、恐竜の進化に関する新たな手掛かりとなっている。例えば、初期恐竜は小型の雑食恐竜であり、二足歩行し、物体を把持できる手を持っていたことが示唆されている。また、今回の分析で、恐竜の起源がゴンドワナ大陸ではなく北半球だった可能性があることが明らかになったが、Baronたちは、恐竜の進化に関して時期と地理的環境の再評価が必要になっているという考えを示している。

doi: 10.1038/nature21700

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度