注目の論文

【生物工学】DNA折り紙を使って数学問題の解を表示するDNA計算機

Nature Communications

2015年12月9日

Biotechnology: Using DNA origami to solve mathematical problems

DNA鎖にコードされた2つの数値を入力すると、その積が画面上に数字で表示されるというDNAを用いた計算機について記述した論文が、今週掲載される。生物システムは膨大な量の情報を生成するが、そうした情報を柔軟に解析する方法が必要とされている。DNAを使って数値を入力し、有用な解を速やかに生成する方法は、そうした膨大なデータを解読する1つの方法だ。

DNAの塩基配列は、遺伝情報以外の情報もコードでき、数千個のDNA分子の同時相互作用により複数の計算を一度に行うことができる。DNAを用いた計算システムの最新版は、電子計算機の模倣(演算を実装するいわゆる「論理ゲート」の設計)によって機能する。

今回、Kurt Vesterager Gothelfたちは、DNAの「参照用テーブル」を設計した。入力値をコードする2つのDNAが入力されると、解候補のライブラリを参照して解が見つけ出されるのだ。また、Gothelfたちが設計した一本鎖DNAオリゴヌクレオチドのセットは、互いに結合して、「2かける2」のような「問題」を生成し、「解」がコードされたDNA鎖と正確に結合して、数字の「4」を意味するDNA鎖の解のセットを生成できる。そして、このDNA構造が、解情報を読み取り表示装置に送る特製マイクロアレイと結合することで、解が数字で表示されるようになっている。

この計算機は、今のところ実用化されていないが、Gothelfたちは、バイオセンシングシステムと合成生物学による生体調節システムを補助するために利用できる可能性があると考えている。さらに開発が進めば、疾患特異的な核酸を入力して、可能性のある答えの中からDNAにコードされた正しい答えを検索する診断装置として利用できるようになる可能性もある。

doi: 10.1038/ncomms10089

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