注目の論文

【化石】考古学上の「ごみの山」でDNA塩基配列の解読を行う

Scientific Reports

2013年11月28日

Fossils: DNA sequencing the archaeological 'scrapheap'

骨のバルク試料に含まれる未確認断片を古代DNA(aDNA)塩基配列解読によって個別的に解析する方法として、従来よりも短時間で実施できる新しい方法について説明した論文が、今週掲載される。考古学上、古生物学上の発掘作業では、骨の小断片がよく見つかるが、その同定作業は困難を極めることがあり、個別試料のaDNA解析には多額の費用と長い時間を要することもある。

今回、Michael Bunceたちは、骨粉をブレンドした試料から最も古いもので約46,000年前のものとされるaDNAを抽出、増幅する「バルクボーン」法を紹介している。個々の試料には、オーストラリアの考古学的に重要な遺跡(デビルズレアーとトンネルケーブ)の15か所の堆積層の1つから出土した50~150点の化石断片に由来する物質が含まれている。Bunceたちは、抽出されたaDNAについて、増幅可能なミトコンドリアDNAのスクリーニングを行い、ハイスループットDNA配列解読法(メタバーコーディング法)によって塩基配列解読を行った。次に行われた分類学的解析では、試料の中に、さまざまな哺乳類、鳥類と爬虫類のDNAが含まれていることが判明した。

発掘調査や試掘で出土した骨のバルク試料は、形態学上重要な試料であり、それらを壊さずに短時間かつ経済的に解析を行う方法は、考古学者や古生物学者にとって貴重な研究手段となる。今回の結果は、そのような解析のために有望な技術を初めて実証し、これまで処分される運命にあった可能性のある試料から過去の生物多様性に関する情報を明らかにする上で役立つ可能性が生まれている。ただし、それぞれの時代の遺伝的多様性に関する情報を確実に推測し、種レベルでの分類学的同定ができるまでに改良するためには、さらなる研究が必要となる。

doi: 10.1038/srep03371

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度