注目の論文

【化石】太古の墓場が初期の四肢動物の生活の一端を示す

Nature

2016年9月8日

Fossils: Early grave provides glimpse into early tetrapod life

初期の四肢動物である最古の4本足の脊椎動物の謎の生活史に関する新情報が、今週のオンライン版の掲載論文で発表される。現在のグリーンランドから出土した一群の四肢動物化石(Acanthostega[アカントステガ]属)を研究チームが詳細に見直した結果、約3億6500万年前のものであるその標本は、死んだ時点では全て幼生であり、生活様式が水生であったことが分かった。

魚類から四肢動物への移行は、脊椎動物の進化史の中で重要な出来事の1つである。しかし、Acanthostegaなど最初期の四肢動物の生活史と行動は、長く不明となっている部分が多く、それは初期の四肢動物の化石が希少であり、往々にして断片的であることが一因である。

Sophie Sanchezたちは、非破壊的な方法である伝搬位相差シンクロトロン・マイクロトモグラフィー を利用して、グリーンランド東部Stensio BjergのBritta Dal累層から採集したAcanthostega標本の4点の上腕骨を可視化して示している。かつて200点を超える骨格要素が出土したこの化石産地は、おそらくは洪水事象に続く干ばつの結果としてまとまって死んだ20個体以上からなっている。研究チームは、骨の成長パターンの詳細(成長の遅延を示す骨のパターンなど)を利用することにより、遺骸群集中の個体は、最大のものまで全て、死んだ時点では幼生であったことを明らかにした。さらに、Acanthostegaの肢の骨の成長開始が遅かったことは、その幼生が完全に水生であったことを示唆している。

今回の骨の分析結果に基づき、研究チームは、Acanthostegaが長い水生の幼生期を有していたこと、および少なくとも一時的には、幼生が成体をほとんどあるいは全く伴わない群れを形成していたことを示唆している。

doi: 10.1038/nature19354

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