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ハイライト
ゲノム:実験用マウスゲノムの解読
520,563,574,578,582,586, N&V(515,517,518)
Initial sequencing and comparative analysis of the mouse genome


生物学と医学の研究が猛烈なスピードで進む時代の到来を告げる研究成果が今週号に発表された。科学者の最良のパートナーともいうべき実験用マウスのゲノム配列が解読されたのである。
癌や心臓病、エイズ、マラリアといったヒトの病気の研究や治療法開発のために、つつましいマウスは毎日総勢およそ2500万匹もが、世界中で研究を助けている。ハツカネズミの一種、Mus musculusのゲノムはヒトのゲノムに非常によく似ており、きわめて正確に手を加えることができる。このゲノムが解読、解析されたことは、研究開発を大いに加速するだろう。公的資金によるマウスゲノム解読共同研究体は、マウスの遺伝暗号を構成する全部で25億個の「文字」、つまり塩基をほぼ完全につなぎ合わせることに成功した。今回発表された極めて重要な論文のうちの1つが明らかにしたところでは、マウスゲノムはヒトゲノムより14%小さいが、遺伝子のおよそ80%はヒトと共通だという。
もう1つの国際チームが集めた遺伝子類似配列(マウスのトランスクリプトームを構成している)の包括的ライブラリーも自由に利用できるようになる。興味深いことに、遺伝子類似配列の約3分の1はタンパク質には変換されないことが、このグループにより明らかにされている。これらの配列は、成長途上の特定の時期に特定の場所で他の遺伝子のスイッチをオン、オフする働きをしているのかもしれない。
ヨーロッパの研究グループによる第3番目の論文では、これまで「ジャンク(がらくた)DNA」と呼ばれていた領域でさえも、遺伝子活性の調節に不可欠である可能性があることがわかった。ヒト第21染色体とそれに対応するマウスゲノム領域との詳しい比較から、遺伝子をコードしないようにみえる多くの配列がヒトとマウスで非常によく似ていることがわかり、これらは遺伝子の調節に重要である可能性が示唆されている。米国のグループからの4番目の論文は、心臓病、糖尿病、統合失調症といった複雑な病気の研究を大いに促進するものとなろう。この論文では、マウスゲノムの一塩基多型(SNP)と呼ばれる目印が探索されている。SNPはマウスの系統によって異なり、動物モデルにおける疾病の原因遺伝子を突きとめるのに利用できる。
さらにマウス遺伝子がどんな場所で、いつ働くのかを明らかにしようという2つの研究プロジェクトのおかげで、こういった遺伝子が持つ役割について、正確な推定がこれまでより容易に行えるようになるだろう。欧州と米国の研究チームが、ヒト第21染色体の遺伝子に対応するマウス遺伝子の発現位置を示す、成長中のマウス胚の三次元地図を作成したのである。
今日では、ゲノム配列の解読はありふれたことかもしれない。しかしマウスゲノムは科学者が待ち望んでいたゲノムである。「科学界にとっては、ヒトゲノムにも匹敵する業績だ。」とウェルカムトラスト・サンガー研究所(英)の所長A Bradleyは語り、Commentaryではこの比類なき遺伝的資源の有効性を正しく評価し最大限に利用するための将来の実験、共同研究構想を繰り広げている。
また、このマウスゲノム特集の一部として、News Featureが3本掲載されている。最初の記事ではNatureの特派員がマウス研究の最先端を行く研究室3か所を訪ね、解読への反響を紹介する。2本目ではマウスゲノムのジャンク領域、特にレトロトランスポゾンと呼ばれる遺伝的寄生体を取り上げる。最後の記事では、マウスのゲノム解読での全ゲノムショットガン法の成功を検証し、今後のゲノム計画への教訓を考える。

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