Nature ハイライト

気候科学:スノーボールアースにおける海洋の役割

Nature 495, 7439

新原生代の約7億5000万〜6億3500万年前に全球的なスノーボールアースが存在した可能性をめぐって活発な議論が交わされている。しかし、凍結が全球に及んでいたかどうかはともかくとして、大規模な氷河作用が起きたことは明らかである。これまでのほとんどの研究は、当時働いていた大気過程に注目しており、海洋の役割はおおむね無視されていた。今回Y Ashkenazyたちは、厚さ1 kmの氷層があり、弱い地熱フラックスが伴うと仮定すると、スノーボールの海洋には、激しい混合に加えて、赤道付近の強い鉛直循環、赤道ジェット、大規模な渦という特徴があっただろうことを示している。また沿岸湧昇によって、大陸縁辺付近には開放水面が生じた可能性がある。今回の結果は、スノーボールイベントの時期における光合成生物の生存と、現在の地質学的観測や地球化学的観測の結果の解釈に影響を及ぼす。

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